iPhone/iPadで滑らかな再生を得るには?
いいことずくめのようだが、残念ながら話はそれほど単純ではない。というのも、iPhone/iPadに搭載されているハードウェアデコーダチップは、ビデオコーデックとしてMPEG4-AVC/H.264はサポートしているものの、地デジなどで採用されているMPEG-2 TSには対応していない。ソフトウェア(CPUの処理能力)だけでMPEG-2 TSストリームを再生しようとなると、システムに高い負荷がかかるうえ、電力も消費する。iPhone/iPadで滑らかな再生を得ようとすれば、ビデオコーデックはMPEG4-AVC/H.264で録画(または録画後に変換)することが現実的だ。
ビデオレコーダーには「録画モード」というものがあり、メーカー/機種によって多少の差がある。地デジを例にすると、放送波(MPEG-2 TS)をそのまま録画する最高画質の「ダイレクトレコーディング(DR)」、ビットレートを下げて容量を減らす圧縮型の大きく2種類がある。XPやSPといった録画モードは圧縮型であり、市販されている機種の多くはコーデックにMPEG4-AVC/H.264を採用している。
では、iPhone/iPadで再生したければ録画時にXPやSPモードを指定しておけばいいかというと、そうではない。XPモードのビットレートは、おおむね8〜10Mbps程度だが、ワイヤレスでLAN接続するiPhone/iPadの場合、コンスタントにその帯域幅を維持することが難しい。ビットレートが最高24MBbpsほどに到達するDRモードの場合、そのままではiPhone/iPadで滑らかな再生を得ることは困難だ。
iPhone/iPadと「nasne」の組み合わせがベスト
また、現時点のTwonky Beamでは、どのモードで録画した番組でもスムーズに再生できるようにはならない。スムーズな再生を得るためには、iPhone/iPadが得意なコーデック(MPEG4-AVC/H.264)、しかもビットレートをある程度落としてトランスコードすることが現実的だ。
そのような処理が可能なビデオレコーダーは、2013年2月現在、一部のソニー製品と、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)のネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」しかない。他社製レコーダーも、持ち出し用として720pあたりの解像度で録画しておけば、スムーズに再生することは可能だが、アプリの要求に応じてレコーダー側でトランスコードしてくれる機種は、2012年12月時点ではソニーおよびSCEの製品だけだ。
とりわけ、安価かつストレスなく録画済番組を視聴するという点でいけば、「nasne」がベストだといえる。PS3+torneの組み合わせにiPhone/iPadを追加する形が望ましいが、PS3がなくてもなんとかなる。nasneならば、Mac OS XからWebブラウザー経由で運用可能だからだ。前置きが長くなったが、次回はnasneの導入と、Mac OS XやiPhone/iPadと組み合わせた活用術を紹介したい。
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