7年ぶりに出たライブ用シンセ「KingKORG」
「どうせコラだろ」「こんな部長のオヤジギャグみたいな名前で出るわけないじゃん」「それにしてもずいぶん手の込んだ合成写真だな」その他、NAMMショーを控えて出回った流出画像を前に、散々な言われ方をした「KingKORG」ですが、本当に出ました。
何と申しましょうか、もうロゴを見て分かる通り、思い切りキングコングにかけたダジャレです。そして「KING」という名前から超弩級のハイエンド贅沢シンセとばかり思っていたら、あら、意外とお安い。すでに小売店では9万9800円で予約販売が始まっていました。発売予定は2月23日。
そして、当然ながら中身はダジャレではありません。61鍵の標準鍵盤サイズ、ヤングなら機材車がなくても何とか担いで行けるジャスト7kgという重量。これで、このシンセの目指すところが分かってきました。いつものKORGの、初心者に優しく、かつマニアも納得という真面目な作りの製品です。はっきり言って、これは大バーゲンセールと言えるのではないでしょうか。
KORGとしては7年ぶりの新しいライブ用シンセということで、当然気合も入っているのでしょう。これまでおなじみの「MMT」音源をついに更新し、「XMT(eXpanded Modeling Technology)」を搭載。さまざまな楽音やシンセの波形を127種類積んでいるそうで、テクノの有名ユニットのあの曲や、ロックの有名なこの曲なんかとそっくりな音も、あらかじめプリセットされています。
目に見えるところで言えば、操作系が非常に分かりやすい。まず1画面の大きな液晶インターフェースではありません。ツマミの要所に有機ELディスプレーが設けられ、あくまでパネル上のボタンやつまみが、インターフェースの主役である、というデザイン。ツマミのレイアウトも、演奏中に操作して他のツマミに指が当たらないよう、巧みに考えられている様子です。
バンドで当たり前に使うピアノやオルガンのような音を、一発で呼び出せるボタンもメインにあります。加えてKORGのお家芸ともいうべき真空管のオーバードライブ回路も内蔵していて、ここぞという時にアナログの歪みで押し出しが効く。
バンドの即戦力となる万能キーボードとして如何でしょうか。もちろんボコーダーも入っておりまして、ワークステーション機能を除けば、もうKORGのシンセ要素がほとんど入っている。
パネルは薄いゴールドのアルミで、ボディは樹脂製。実用で使い倒してナンボの感じがしつつも、背面にはCV/GATEの出力端子が付いています。つまりMS-20 miniをこれで鳴らせる! MS-20 miniは和音が弾けませんから、KingKORGとは良い組み合わせかもしれません。