iPolysixは音源アプリではなくワークステーション
―― すると相当に長い間開発を重ねてきた結果が、このiPolysixにつながっている、と。
福田 そうですね。特に2012年は「Polysix三兄弟」が一気に出てきた年ということで。iPolysixが最後の三男坊という感じですね。ただ、iPolysixはLegacy Collectionとはまったく別のものですから。
中島 音源的にもパラメーターの追加をしていますしね。
福田 基本的な信号処理は一緒ですけど、別のシンセになっていると思います。UIから構成から何から。Legacy Collectionは本当にただの音源だったんですけど、これはPolysixのワークステーションですよね。
―― アナログ時代にワークステーションはなかったですもんね。
福田 だから全然違う楽器として作っています。これで久しぶりにPolysixをやり始めて、あらためてハードと比較したんですけど、本当にいい音がするんですよね。Legacy Collectionの頃に使い始めた技術なんですけど、今でも十分に使えるというか、ある意味驚きました。
―― じゃあシンセ部分の開発に関しては何の苦もなく?
中島 いえ、やっぱりCPUの負荷が……。
井上 ええ、問題は負荷ですね。
―― やっぱり、さすがに6音ポリともなると……。
福田 iPad miniも、iPad 2くらいの性能なんですけど、まだ十分とは言えないですね。だから相当に負荷を減らすようにがんばりましたけど。
―― 僕はiMS-20のために初代のiPadを買ったんですが、まだ2年しか経ってません。もう初代のiPadじゃダメなんでしょうか……?
中島 初代iPadでも、魅力が十分伝わるくらいにはお使いいただけると思います。
―― ああ、さすが、うまい言い方を。
中島 でも2台分フルに使って6音+6音でモジュレーションをかけるとか、限界まで性能を引き出そうとすると厳しい感じはします。ノイズが出たりするので。一応、推奨はiPad 2以降とさせていただいております。ただ、初代iPadでも普通に使う分には問題ないと思います。
(後編はiPolysixに追加された機能や、「AudioBus」や「VirtualMIDI」など他アプリとの連携機能についてうかがいます)
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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