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小型PCフォームファクターNUC活用術 第2回

インテル製NUCベアボーン「DC3217BY」の性能と10の疑問点

2013年01月29日 12時00分更新

文● 藤田 忠

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Q:無線LANは増設できるの?

A: NUCベアボーンとマザーボードには、ハーフサイズのMini PCI Expressスロットを装備しているので、ここにMini PCI Expressの無線LANカードを増設すれば使用できる。

マザーボードには、ハーフサイズ(下段)とフルサイズ(上段)のMini PCI Expressスロットを装備している

インテルから借り受けた評価キットには、Wi-fi+Bluetooth4.0対応の「Centrino Advanced-N 6235」が搭載されており、認識していた(編注:市販されている製品には無線LANカードは搭載されていません)

 しかし、日本国内で無線機器を利用するには総務省の技術基準適合証明こと”技適“マークの取得が必須で、未取得の機器を使うと電波法違反になる恐れがあるのだ。残念ながら、標準で無線LANが装備されていないNUCベアボーンとマザーボードは技適マークは取得されていない。

技適マーク。機器本体や画面に、このマークの表示がない無線機器を国内で使用するのはNGだ

 通販サイトや中古ショップでは、PC組み込み向けのインテル製Mini PCI Express無線LANカードも見かけるが、これは組み込んだPC製造元が申請するため技適マークは取得されていない。NUCベアボーンは、無線LAN用アンテナが備わっているが、無線LANの増設にはUSB無線LANアダプターなどを使うようにしよう。

LAN非搭載の「DC3217BY」には、Wi-FiとBluetooth 3.0を1つのUSBポートで増設するPLANEX「BT-Micro3H2X」(左)、2500円前後やアイ・オー・データの無線LANアダプター「WN-G300UA」(右)、1800円前後を増設しよう

Q:mSATA(フルサイズ Mini PCI Express)スロットはSATA3で動作するの?

A: SATA3対応なので安心しよう。今回搭載したcrucial製SSD「CT128M4SSD3」を「CrystalDiskMark」で計測すると、シーケンシャルリードが469.9MB/s、ライトが198.6MB/sと、2.5インチ版crucial m4シリーズと同等クラスになった。

「CrystalDiskMark 3 Shizuku Edition」の結果。ベンチにも萌をということで、公式応援キャラ「水晶雫ちゃん」(イラスト 桐野霞氏)が計測してくれる

 mSATAの性能に加えて、マシン全体のパフォーマンスも定番ベンチマークの「PCMark7」と、動画エンコードソフトの「TMPGEnc Video Mastering Works 5」で計測してみた。動作クロックや物理コア数が違うので横並びの比較はできないが、参考に「Core i5-3570K」を搭載する自作マシンの数値も計測している。

自作PC テスト環境
CPU Intel「Core i5ー3570K」(3.4GHz)
マザーボード ASUSTeK「P8Z77-V DELUXE」(Intel Z77 Express)
メモリー DDR3-1600 4GB×2
SSD Plextor「PX-128M2P」(128GB、SATA3)
電源ユニット オウルテック「SS-750KM」(750W、80PLUS GOLD)
OS Windows 8 Pro(64bit)
PCMark7
  DC3217BY Core i5-3570K 自作PC
Score 4028 6045
Video playback and transcoding
Video playback
23.38fps 23.42fps
Video playback and transcoding
Video transcoding - downscaling
2万6594.29KB/s 3万5330.25KB/s
System storage - gaming 15.69MB 16.54MB
Graphics - DirectX 9 16.46fps 20.90fps
Image manipulation 12.15Mpx/s 22.99Mpx/s
System storage - importing pictures 25.14MB/s 27.70MB/s
Web browsing and decrypting
Web browsing
7.84pages/s 18.63pages/s
Web browsing and decrypting
Data decrypting
40.81MB/s 178.40MB/s
System storage - Windows Defender 5.48MB/s 5.59MB/s

 「PCMark score」は、2000スコア近くの差がついているが、スコア算出の元となる各テスト項目(テスト内容の詳細はhttp://ascii.jp/elem/000/000/614/614744/)の結果を見ていくと、意外と差が小さいテスト項目もある。マシン全体としては悪くない性能といえるだろう。実際、筆者はソニーのネットワークレコーダー「nasne」で録画した地デジ番組やライブチューナーで視聴したり、Blu-ray Discを再生したりしているが、動作にまったく不満は感じていない。

TMPGEnc Video Mastering Works 5 エンコード時間
  DC3217BY Core i5-3570K 自作PC
X.264 40分21秒 13分51秒
Intel Media SDK Hardware(Intel Quick Sync Video) 21分27秒 11分33秒

 「TMPGEnc Video Mastering Works 5」では、約31分の1440×1080ドットのMPEG2ファイルを720×480ドットへ変換した際の時間を計測したが、2倍以上の差がついている。最大動作クロックに2GHzの差があるので、やむを得ないところだが、「Core i3-3217U」でも「Intel Quick Sync Video」を活用すれば、かなりエンコード時間は短縮できるのは覚えておこう。

簡単組み立て、コンパクトさが魅力のNUCベアボーン

 3Dゲームや動画エンコードといった負荷の高めの作業は厳しいが、裏面の4ヵ所のネジを外して、メモリーとmSATA SSDを取り付けるだけで完成する容易さと、設置場所に困らない手のひらサイズの設置面積は魅力的だ。

付属のVESAマウンターを使って液晶背面に固定できる

 総額こそ「Core i3-3217U」を搭載するノートPCに比べて高くなってしまうが、付属のVESAマウンターを使って液晶背面に固定して、ベットサイドの動画視聴用にしたり、リビングの液晶テレビと接続して家族用にしたり、NUCはなかなか面白い使い方ができるだろう。

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