デスクトップアプリケーション上でも、パソコンやタブレット、スマートフォン上のウェブブラウザーでも、Lytroカメラの写真は表示されている任意の場所をクリックすると、その場所にピントが再設定されて、ピント合わせされた写真が表示される。
今のところLytroカメラで撮影した写真から、任意の部分でピントを再設定して描画したものを、JPEGやPNGなどで出力する機能はLytro Desktopにもない。そのためJPEGで保存したい場合には、画面キャプチャーしか対処方法はないようだ。筆者が探した範囲では、同機能のフリーウエアなどもまだ存在しないようだった。
一方で、Lytroカメラの発売時にはサポートされていなかったソフトウエアの新機能として、「Perspective Shift」というなかなか面白い機能が付加されている。簡単に言ってしまえば、これは写真を見る人の視点を簡単に変える機能だ。
「Perspective Shift」のサンプル。写真上でカーソルをドラッグすると上下左右に視点が動いたような効果で描画される。
Lytroカメラからパソコンに取り込んだ写真にこの機能を組み込むと、写真を見る人はマウスポインターで任意の部分をクリックしてドラッグすることで、最も手前に映っている被写体と遠方の被写体の位置関係がずれて、本来は手前の被写体に隠れて見えない部分が見えるようになる。この効果を狙った写真を撮るには、撮影にそれなりの慣れとセンスが必要だ。それでもこの擬似3Dのような機能は、今後のデジタルカメラの機能に与える影響が大きいかもしれない。
現在発売されているLytroカメラは、その先進的な機能に比べると、micro USBケーブルによるパソコンとの有線接続がミスマッチだ。近い将来には無線LAN接続や、スマートフォン経由でのクラウドサービスとのダイレクト連携機能を搭載した製品も登場することだろう。
解像度的にはすでにアナログを追い越したデジカメが目指している、「飽くなき高解像度の世界」とは違う流れだが、Lytroカメラの摩訶不思議な世界は、今後より大きく成長する分野なのかもしれない。格安デジカメとは言えないが、試して損のない話題性のある「ハッピーなカメラ」であることは確実だ。
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T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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