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『転換期を迎える環境ビジネス 概説REDD+』刊行特別インタビュー ― 第3回

リモートセンシング技術のREDD+への活用を概観できるテキスト

2013年01月19日 11時00分更新

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さまざまな応用が可能なリモートセンシング技術

 それでは次に、リモートセンシング技術がどのような場で生かされるのか、いくつか例を挙げてみましょう。

 まずは防災です。例えば東日本大震災が発生した際、当社では衛星経由で被災地全域のデータを収集し、震災翌々日には関係機関にデータを届けることができました。これはリモートセンシングを使わなければできないことだと言えるでしょう。また、解析モデルと組み合わせることで、津波の到達範囲を予測するなどのシミュレーションも可能となります。

 台風で水害が発生した際に、被害状況をいち早く知るためにも、リモートセンシングは役立ちます。台風が襲来したときには雨雲がかかっていますので、地表の様子を「見る」ことはできませんが、マイクロ波センサを使うことで雨雲下の被害状況がわかり、救難などに生かすことができるわけです。

 次に、インフラの効率的な維持管理です。昨年末、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板の崩落事故が発生しました。インフラは耐用年数を過ぎれば劣化するものなので、これにどう対応していくかが大きな課題となっています。地上でリモートセンシングの技術を使えば、コンクリート構造物の劣化状況などがわかるため、どの部分を補修すればいいか、またどういう優先順位で補修工事を行えばいいのかがわかるのです。

REDD+に生かされるリモートセンシング技術

 炭素ストックを積極的に増加させる概念を含んだREDD+において重要なのは、炭素蓄積量の正確な把握です。そのために必要になるのが、樹種や分布範囲も含めて森林の現状がどうなっているのかを正確に把握すること。さらに、過去に蓄積されたデータとの比較からCO2排出量(つまり炭素蓄積量がどれだけ減ったか)を解析することです。また、REDD+活動には、森林保全の対策効果を計量することも含まれるため、今後、排出量がどうなっていくのかについても知らなければいけません。

 リモートセンシングには、データ収集を続ければ続けるほど情報が蓄積し、的確な比較や分析がしやすくなるという特性があります。過去・現在・将来の森林の状況を定量的にモニタリングできる――。これが、リモートセンシングの大きなポイントでもあり、REDD+でも重要なコンポーネントになっているのです。

 当社は、リモートセンシングを使って計測をするだけではなく、総合的なコンサルティングサービスにも力を入れていますが、予測や解析のためのデータベースがしっかりしていなければ、コンサルティングの際にプロジェクトの妥当性が証明できません。REDD+は、最終的にはクレジットという形で金銭換算されるものですので、高度なリモートセンシングによる正確性の確保が重要となります。

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