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International CES 2013レポート 第2回

Tegra 4や携帯ゲーム機の発表で大きな話題を呼ぶNVIDIA

2013年01月07日 21時12分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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PCゲームの敷居の高さを下げる
GeForce Experience

 NVIDIAの説明会はTegra 4の話ばかりでなく、すでに発表済みではあるが、今後の同社にとって重要な技術がいくつか披露された。そのひとつが、PCゲームのグラフィックス設定を簡単にしてくれるユーティリティー「GeForce Experience」である。

ゲーム機(左)は単一のスペックだが、PCはゲーム機未満の性能から、15倍以上高速なものまで、まちまちである

やたらと複雑なPCゲームのグラフィックス設定は、高品質を実現できる一方で大きな障壁でもあるとNVIDIAは認識している

 GeForce Experienceはすでにβ版が2012年12月に公開されている。これを導入するとPCのスペックに合わせて、インストールされている対応ゲームのグラフィックス設定を、自動で最適化してくれるというものだ。PCゲームのグラフィックス設定と言えば専門用語がやたらと並び、PCに慣れたユーザーでも、品質とパフォーマンスを両立した最適設定を見いだすのは難しい。その処理を自動化してくれるのだから、PCゲームのプレイヤーにとっては、とてもありがたいソフトウェアである。

GeForce Experience導入のデモ映像。画面中央の赤線から、左はオフ状態で右がオン状態。左に比べて、グラフィックス設定を最適化した右は細かいディテールまで表現していて、見栄えはまったく違う。これを自動化してくれるわけだ

 PCゲームの敷居の高さを下げることは、PCゲームの隆盛にビジネスの一部がかかっているNVIDIAにとっては重要なことだ。今後の充実に期待が持てる。

テレビがハイエンドゲーム機に変わる!?
GeForce GRIDが変えるPCゲーム

 もうひとつ、ある意味ではSHIELDよりもはるかにゲームビジネスに対して大きな影響を与えるかもしれない技術が、クラウドゲーミングシステム「GeForce GRID」である。こちらもすでに発表済みの技術ではあるが、CESというイベントに合わせたデモが披露された。

GeForce GRIDを実現するサーバーシステム。ラックにずらりとGeForce搭載サーバーが積み重なる

サーバーシステムの主な仕様。なんとXbox 360なら700台分(笑)

 会場で披露されたGeForce GRIDのサーバーは、20台のラックマウントサーバーに240個のGPUを搭載。Xbox 360の700台分に相当するほどの処理能力を備えているという。

 GeForce GRIDの詳細はこちらの記事を参照していただきたいが、要するに大量のGeForce GPUを搭載したサーバーシステム上でゲームの処理と画面レンダリングを行ない、それをネットワーク経由でプレイヤーの前の画面に表示するというものである。大きな処理負荷がかかるゲームの動作と描画はすべてクラウドサーバー側で処理するので、手元のクライアントは操作の入力と画面の表示だけを担当すればいい。低スペックなPCどころか、タブレットやSHIELDのような機器でも、高品質なゲーム表示が可能になる。

 説明会でのデモでは、LGエレクトロニクス製のスマートテレビを使い、テレビに直接つなげたゲームコントローラーで、高品質なPCゲームを楽しむというデモが披露された。ゲームの処理や表示だけでなく、セーブデータ管理もクラウド側でやってくれるため、テレビ側でゲームをいったん中断したのち、Android端末で続きを遊ぶといったことも可能である。

スマートテレビに直接コントローラーをつなげてGeForce GRID上のゲームを遊ぶデモ。まさにゲーム機いらず

テレビ上で中断したゲームは、タブレット上でそこから再開もできる。クラウドならではの利点だ

 GeForce GRIDを実現するには、遅延が少なく帯域も広いネットワーク接続が必要になるので、ただちにこれがハイエンドのゲームPCや据え置きゲーム機を駆逐するわけではない。しかし、強力なパワーを持ったゲーム機そのものを不要にして、どんな機械でも高品質なゲームが楽しめるようにする技術なだけに、ゲームビジネスそのものを変えてしまう可能性も秘めている。今後の展開には注目したい。

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