中古品から修理店までが集まる
大連の携帯電話市場
今回訪れた携帯電話市場の場所は中国東北部に位置し、日本人労働者も多くいる、遼寧省の大連。繁華街の地下街に位置しているため、多くの人がやってくる。しかも中国の駅は繁華街から離れているのが基本だが、大連の繁華街は駅前にあり、外国人がふらりと大連に立ち寄っても簡単に行けるロケーションだ。
ひとつの広大な地下フロアに中小さまざまな携帯電話ショップがびっしりとひしめき合っている。扱う端末は新品が多いが、中古品もちらほら。それに携帯電話やスマートフォンを修理する店もある。商品はすでにほとんどがスマートフォンだ。
携帯電話街の大きめの店では、見たことのないニセモノブランドのスマートフォンをメインに扱う店は皆無。特に人気のApple製品を扱う店を筆頭に、著名なスマートフォンメーカーの看板が並ぶ。
これらの店では、AndroidでもSamsungやソニーやHTCの製品が多く置かれ、またそれらのケースも多数販売されている。AppleやSamsungなどの人気製品では、同じモデルで香港版、中国本土版、欧州版、米国版などあり、それぞれで値段が異なる。大連はそこそこ所得が高い都市であり、他の都市、特に内陸ではもうちょっと低価格な中国メーカーの製品も含めまんべんなく販売されている。
大連らしさといえばもうひとつ。外国人が多く住む都市だから携帯電話街の客も西洋人が多く、英語での相談にもなんとか店員は対応しようとする(他の地方都市では非常に怪訝な顔をされるか、店員があがってしまうケースになりがちだ)。
筆者が訪れたショップでは、若き美人店員が、普通に日本語を話せて対応したのだ。大連は日本語学習者が多いため、日本と無縁な携帯電話ショップでも日本語話者の店員が対応することもある。
お土産のおねだりは当たり前!?
携帯電話市場でのスマホの買い方
ショップ店員は電脳街もそうだが若い女性店員が多い。ただ基本スペック程度しか知識はないので、事前にほしい製品を絞り込んで、スペック以外の使い心地などレポートを読み、勉強しておいた方がいいだろう。
各店舗では明らかに冷やかしでない限り、「ちょっと端末を触らせてほしい」といえば、ガラスのショーケースから取り出して電源を入れて動作をチェックできる。スマートフォンはもちろん、ケースまでもパッケージを開けて触感をチェックできる。
売価は展示物に書いていないことが多いが、動作チェックの際に値段を教えてもらえる。実物を触ったら買わなければいけないと思うだろうが、そこは値段が高くなくても「わかった、ありがとう。また後で来る」の一言で大丈夫だ。
せっかくだから、先ほどの日本語ができる店員のいる店で携帯電話購入のやりとりを観察してみた。客が商品の動作チェックして購入を決めると、本体と一緒に3G(中国聯通のW-CDMA)のSIMカードをいくつかある番号から好きなのを選んで購入。
大きな値段の買い物では、ついでに何かお土産をもらえるよう相談するのがセオリーだから、「何かもらえないかなー」と相談すれば、やや安っぽい専用ケースと保護フィルムがついてきたりする。
保護フィルムは手渡しではなく、美人店員が本体の汚れを拭き取り、丁寧に貼ってくれる。自作PCを組んでもらうのと同様に、人件費は別途とらず、店員は嫌な顔ひとつせず作業していた。
客が「アプリを入れたいのだけれど」と相談すると、店の奥に座る男性スタッフにスマートフォンを手渡すと、男性スタッフはさまざまなUSBケーブルと繋がっているMacで作業し、ソフトをさくっと入れていた。ただしMacに入っていたOSはWindows。店員によると「とくにMacでないと仕事ができないとか、特別なソフトが入っているとか、理由があるわけでなく、好きで購入しただけデスヨ」とのこと。
改めて携帯電話市場を見回せば、Windowsが入ったMacが多くの店で稼働している。iPhoneやiPadの人気が転じて、Mac導入も高所得な地域では普通に行なわれているようだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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