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大和研究所から北京に渡った開発者が語る:

エビ反るウルトラブック「Yoga」のちょっと深い話(前編)

2012年12月30日 09時00分更新

文● 小林 久

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ThinkPadのノウハウが投入されたIdeaPad Yoga

── まずはYogaの開発体制について教えてください。

レノボ 「2011年の夏前に『来年のWindows 8に合わせてどういうマシンを作らないといけないか』という話が出たのが、そもそもの始まりです。Windows 8といったらタッチ。タッチに対応するためには、普通のノートパソコンじゃ面白くないだろうと。

 イノベーションに力を入れているレノボの中でも、Yogaヒンジは長年の研究課題でした。だからこれを何とか製品にしたいと思ったんですね。

Yogaヒンジの動作

 ただ、Yogaヒンジについては、ネガティブな意見も結構多かったのです。『製品化できないんじゃないか』と。そこで、ThinkPadの部隊がIdeaPadの部隊に合流することで『技術支援ができないか』という話が持ち上がったのです。

ヒンジ部分の拡大。パネル側とキーボード側の両方に軸がある

 Yogaの開発は元々中国だけで始まったのですが、ThinkPadの堅牢性や日本の設計技術を取り込みたいので、大和研究所と一緒にチームを組んで開発を進めました。実際に派遣された人間以外にも、色々な人間が関わってテストするなど、援助をもらっています。

 大和研究所からは、ThinkPadの開発経験があるエンジニアが2名。私とYogaヒンジの設計者が北京に向かいました。私はプロジェクト管理と電機部品を主に担当しました」

常に新しいことを考える文化

── パネルがぐるっと反転するノートのアイデアは以前からあったのでしょうか?

自由自在な角度に決められるYoga

レノボ 「アイデアとしてはありましたよ」

── ではそのアイデアをどのタイミングで出すかという議論があったということですか?

レノボ 「厳密に言うと、そこはマネージメントの判断なので私にはお答えできません。エンジニアのレベルにまで話が下りてくるのは、実際にやろうという話が決まってからのことです。現場で把握できるのは、そこまでですね。

 ただ、私自身、約20年間ThinkPadを担当してきたわけですが、新製品をやる際には、毎回何か新しいことができないかと考えています。Thinkブランドの開発チームには、そういう“考える文化”があるんですね」

── 開発の過程で試行錯誤は常にあって、製品のコンセプトに合ったものが選ばれる。Yogaの機構については、Windows 8が出てタッチが必要になるというジャストなタイミングだったということですね。

レノボ 「はい。Yogaでうたいたいのは、やはり『Stand』や『Tent』といった新しい用途の提案です。これこそがYogaヒンジを使う理由です。私もTentモードが好きでよく使いますが、机の隅において仕事の傍らにタッチで操作する。その便利さを実感しています」

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