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遅すぎる日本のスマホサイトの原因を探る (4/4)

2013年01月08日 11時00分更新

文●竹洞 陽一郎/Keynote Systems

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日本のスマホサイトを何とかするには?

 アメリカの雑誌「Website Magazine」の座談会で、ニック・ジュリア氏は「Webサイトデザインは今やアートではなくどんどん科学になってきています。私たちは、主観的なデザインによってではなくデータによって決定を下しています。収集されたデータは、ヒートマップテストやA/Bテストをするソフトウェアのように実際の結果が導かれます」と述べています。この発言の背景には、米国では、Webサイトは「芸術」ではなく「機能」を提供する場であり、科学的なデータに基づく改善が必要と思われているからです。

 一方、日本ではどうでしょうか? Webサイトを「工業デザイン」の視点で設計するWebデザイナーがどれだけいるでしょうか? Webパフォーマンス計測、UXテスト、ログ解析など、データに基づいて意思決定を下す文化は欧米で根付いて随分経ちますが、日本ではログ解析以外はあまり普及していません。しかも、サイトの改善で反対に回るのは、Webデザイナーであることが多いのです。Webサイトを変えようとすると、Webデザイナーは「デザインをわかっていない」と主張します。しかし、定量・定性調査をしてみると、デザイナーの勘、感性、経験はほとんど当てになりません。

 特に、スマートフォンやタブレット向けのサイトは、PCとは全く異なるアプローチが必要です。スマートフォンやタブレットが組込系と呼ばれる制約の多いデバイスである以上、スマートフォンサイトも使えるリソースにシビアになって「機能美」を追及して実装すべきなのです。ページを高速に配信するために、またユーザーに優れたユーザー体験を提供するためにも、サイトはシンプルで機能美を追及したものであるべきなのです。

 もちろん「改善すれば、本当にビジネスに好影響をもたらすのか?」と疑問を持たれるでしょう。具体的な数値で見せろ、と思うはずです。この連載では、アスキー・メディアワークスが運営する「魔法のiらんど」を例にパフォーマンスを計測し、データに基づいて改善を実施することになりました。ただ、公開できる数値はビジネス上の理由から改善率が中心になります。数値でビジネスへのインパクトを実証し、多くの人に納得して欲しい、と願っています。

著者:竹洞 陽一郎(たけほら・よういちろう)

Keynote Systems日本代表。1968年青森県八戸市生まれ、青森県立八戸北高等学校卒、日本大学法学部政治経済学科卒。日本のITベンダーでSE、プロジェクトマネージャとしてシステム構築に携わる。その後、Function Point法とCOCOM IIを使って、官公庁や銀行などのIT不良資産率や開発費用の見積りコンサルティングを行なう。2004年VMware入社、Professional Serviceで日本人初のVCPトレーナーとして仮想化技術の教育を100名以上に行なう。2006年Akamai入社、Professional Serviceでアカマイの配信設定とコンサルティングサービスを行ない、50社以上の大規模アクセスサイトのWeb配信を高速化。2009年Verizon Business入社、Global Serviceにて、Cloud ComputingとWeb配信高速化のコンサルティングを担当。2011年よりKeynote Systemsの日本代表。

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