HDD容量の心配がなくなったBDレコーダー
さらなる使い勝手の向上が実現する!
「薄型テレビを買い換えた人が次に注目するモノはコレでしょう!」という目算はあまりハマらず、好調とは言いにくい状態だったBlu-ray Disc レコーダー。しかし、BDレコ自体の進化はなかなかのものがあり、今年のモデルは価格下落の傾向もあって、お買い得モデルが多い(関連記事)。
その理由はまず、HDD容量が増加傾向にある点。エントリー機でも500GBが普通になり、ミドルクラスでも1TBのHDDを内蔵するものが増えている。また、USB HDDの増設に現行モデルのほぼすべてが対応している。いずれにしても、もはやHDD容量不足の心配はなくなったと言える。
USB HDDの増設では、パナソニックの秋モデルでUSB 3.0に対応したのが目新しい。USB 2.0でのHDD増設は、録画モードはDRモードに限られ、同時録画もできないなどの制約があったが、USB 3.0ならば内蔵HDDとほぼ同じ使い勝手が実現できる。これについては今年は間違いなくUSB 3.0端子の装備が標準になるだろう。
iPhone、iPadへの録画番組配信も本格化!
DLNAも大いに普及する!?
もう一つの注目機能は、iPodやiPhoneへの家庭内ネットワーク配信。これは今秋にソニーが一足早く対応を実現した機能だ(一部は春頃予定のアップデートで対応)。実際のところは、iPhoneなどのiOS端末が「Twonky Beam」(PacketVideo社のアプリ)でDTCP-IPにソフトウェアで対応できるようになったことで実現できたもの。
現在PacketVideoが動作保証しているのはソニー製品だけだが、他社のBDレコーダーでもDLNAサーバー機能を持っていれば対応は不可能ではない。このあたりは、各社とも対応を急いでいるはず。スマホで大きなシェアを持つiPhoneを使って録画番組を家の中の好きな場所で楽しめるようになれば、DLNAによる家庭内ネットワークの普及にも大いに貢献するだろう。
2013年は全録レコより「nasne」が面白い!?
今年は面白い展開がありそう! と期待しているのは、昨年登場したソニー・コンピュータエンタテインメントの「nasne」だ(関連記事)。
これはNASにデジタルチューナーを内蔵したもので、プレイステーション 3やVAIO、PSVitaなどに専用アプリをインストールしてテレビ録画を実現できる。ネットワークダビングでBDダビング可能なBDドライブなども登場し、ローコストながら機能的には十分以上のテレビ録画環境を実現できる。
BDレコーダーに3基を超えるチューナーを内蔵する動きは、コストが高くなることや消費電力の問題などもあって、東芝の「REGZAサーバー」(DBR-M190/M180)やバッファローの「ゼンロク」、およびPTPが現在開発中の「SPIDER」以外、他メーカーからの追随がなかったのが残念なところ(関連記事)。しかし、nasneのシステムならば、ユーザーが好みでチューナー数を選べるようになる。
そして、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」でぜひ採用してほしいのが、nasneをコントロールできるテレビ録画機能の実装――つまるところ、テレビ版torneだ。
録画先として自前チューナーとUSB HDDを選択でき、nasneを追加すればダブル録画以上も可能。これならば、BDレコは不要と断言できるテレビ機能になるはずだ。大人の事情でなかなかそう上手くはいかないと思うが、出たら人気が出ることは間違いなしと思う。
他社がnasneに対応するのは難しいが、同様のアイデアは応用できる。これからのBDレコはシングルチューナーでいいのかもしれない。HDDを増設するようにチューナーも増設すればいいのだから。
単独ですべての機能が盛り込まれた現状のBDレコーダーのスタイルもスタンダードなものとして継続していくと思うが、単機能+拡張オプションという構想のスタイルは、安価で展開しやすいこともあって、ユニークなBDレコが増えてくるような気がする。こうした動きにちょっと期待している。