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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第107回

Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編

2012年12月27日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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低価格7インチタブレットの潮流を作ったと言える「Nexus 7」

 ふたつ目のトレンドは「7インチ+低価格」。「Nexus 7」に代表される7インチタブレットは、間違いなく今年の台風の目だ。日本で待ち望まれていたサイズだが、世界的にもヒットしている。理由はサイズ以上に「価格」だ。「iPad mini」は、ハンディなサイズを狙ったものであることに加え、実質的に「iPadの低価格ライン」ともなっている。

 今後も7インチクラスは、1万円半ばから3万円までをラインとして市場が形成されるだろう。この市場は現状、iOSとAndroidの市場だ。Windowsでも作ることはできるだろうが、OSコストや市場性を考えると、棲み分けを考える企業の方が多いと予想できる。ここが「Windowsがタブレットになりきれていない」ポイントでもある。

 7インチクラスについては、「製品価格を上げにくい」という事情から、10インチクラスほど足早な「高解像度化圧力」は生まれないかもしれない。特にAndroid系はそうだろう。だがアップルは、間違いなく「高解像度化」を狙ってくる。それが次になるのか、次の次になるのか(今までのルールなら2013年秋だろうが、予想するのは難しい)。パネルメーカーの投資意欲を見れば、2013年中に実現されても不思議はない。

 逆に言えば、タブレットにおいてブレイクスルーとなるような技術用件は、もうディスプレーくらいしか見当たらない、という言い方もできる。プロセッサーもGPUもストレージも、18ヵ月くらいの間はリニアな変化にとどまるだろう。ユーザーニーズも見えてきたので、むしろ「軽量化」「薄型化」「省電力化」といった方向性の方が求められる。そこは、もっとも大きいエネルギー消費デバイスである、ディスプレー側の進化で変わる部分だ。シャープの「IGZO液晶」に代表される高付加価値型パネルの動向が、商品性のカギとなるだろう。

IGZO液晶を使った13.3型2560×1440ドットのディスプレー。高精細と省電力を兼ね備えたディスプレーパネルの動向が2013年は重要になる

 PC的に使うタブレットはPCに集約され、より「タッチでの操作」「タッチでのコンテンツ制作」「コンテンツ閲覧」の方向へ、タブレットは進んでいく。2013年はそんな年となりそうだ。

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)、「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)、「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)。 最新刊は「ソニーとアップル 2大ブランドの次なるステージ」(朝日新聞出版)。

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