レノボが大和にこだわる理由
── レノボが大和での開発にこだわりぬいている理由はなんでしょう。
渡辺 「元々日本で始めた理由は、ノートという製品を世の中に送り出す際に小型化がキーだったんですよね。小型化の技術は日本が一番進んでいたんです。今も捨てたものではないと思いますが。モノを小さく作るために必要なコンポーネントが日本にすべて揃っていてとてもやりやすかったというのがありますね。
さらにIBMの中には、大和研究所という拠点があったと。環境が揃ってたんですね。そこで優秀なエンジニアがいいものを作ったというのもあります。では、時代が飛んでなぜ今でも日本の大和なのかと考えたとき、日本のお客様の品質に対する要求レベルが高いですから、そういう声に応えられる製品を日本人の感性を持った人が作るというのが、いいモノづくりのために有効だったし、今でも有効だし意味があると考えています。
ここで作った物なら、世界のどこに行っても通用すると思っていますし、日本のお客様の声がエンジニアに届くように、ときどき大和にお招きしたりもしています。お客様の信頼を高めてもらうとともに、エンジニアも生の声を聞くことができる双方に意義があるものだと思っています。よりよい製品を作っていくための条件がそろっていたんですね」
── IBMは藤沢でHDDを研究していましたよね。
渡辺 「IBMはLCDも持っていたし、ハードディスクも持っていた。コンポーネントから作り込みができるというアドバンテージがあったんですね」
── 日本のモノ作りはまだまだ大丈夫ということでしょうか。
渡辺 「レノボでは、日本でThinkPadを作り続けることが大切だと信じいますし、だからこそグローバルもそこに投資しているんですね。中央林間から、みなとみらいへの移転も言ってしまえば投資です。これは私個人だけでなく、全社がそれを確信しているということなんですね。
私は日本人は細かいところに気を配ったモノづくりが、そもそも得意な人々だと思うんですね。最近ではコストが掛けられないなど色々な理由で海外に押されたり、流出したりということも起こっていますが、残念なことだと思っています。本当にバリューを発揮すれば、日本でモノ作りはいまでも得意だし、活躍できるシーンがたくさんあると思うんですね」