ロードマップ図のA55の左側には、赤字で「FIS-Based Switchingサポート削除」と書かれている。これはなにかと言うと、SATAの動作モードへの対応/非対応を意味している。SATAポートは当初から、「ポートマルチプライヤ」※2という規格があり、A75/A55はこれに対応している。
※2 1本のSATA端子に複数のSATA HDDを接続できるようにする、いわばSATAのハブ。
ポートマルチプライヤには、「Command-based Switching」と「FIS-based Switching」という2種類の動作モードがある。前者は複数のHDDを接続した場合、一度に動作するHDDはひとつだけ。後者は複数のHDDが同時に動作する。言うまでもなく後者の方が効率はいいのだが、A55は後者をサポートしないという意味だ。
2013年中はAPU向けチップセットの更新はない
2012年10月には、Trinityベースの第2世代APUの発売にあわせて、「AMD A85」が発表された。主な違いはSATA 6Gbpsポートが8ポートに増強されたことと、外部GPUの利用時にx16レーン1本だけでなく、x8+x8レーンの構成にも対応した程度である。
ちなみに、Socket FM1とSocket FM2には互換性がないが、チップセットそのものは両対応であり、A55/A75を搭載したSocket FM2対応マザーボードも多数存在する(関連記事)。そのため理屈から言えば、A85を搭載したSocket FM1マザーボードも作れそうに思える。しかしSocket FM1そのものがまもなく生産終了なので、さすがにそんな製品は出ないだろう。
最後にAPU向けチップセットの今後についても触れておこう。Trinityの後継となるAPU「Kaveri」登場のタイミング次第ではあるが、少なくとも2013年中は、動きがありそうにない。PCI Express 3.0の対応はCPU側の問題であるし、チップセット側はUSB 3.0にも対応済みだから、インテルのIntel 7シリーズや次のIntel 8シリーズと比較しても、ほとんど見劣りしない。Kaveri自身は引き続きSocket FM2を使うという話なので、技術的にもこれで特に問題ない。
おそらくプラットフォームが変わるのは、メインメモリーに「DDR4」が投入される2014年以降の話になる。つまり2013年中はプラットフォーム変更の必要もないから、このまま継続してA85/A75/A55のラインナップが維持されそうだ。
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