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SCSK、Cloudera、レッドハットの3社とともにビッグデータを推進

ディスクをしこたま積めるストレージサーバー「SL4500」登場

2012年12月21日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月20日、日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)は1Uあたり40TBを実現する高密度・大容量サーバー「HP ProLiant SL4500」を発表した。新ジャンルの「ストレージサーバー」を謳う新製品はビッグデータに最適化されており、ソフトウェアベンダーとの協業も進められる。

新ジャンル「ストレージサーバー」登場の背景とは?

 発表会の冒頭、日本HP インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 本部長 宮本氏は急激なデータ増大にともない、今後クラウド型ストレージサービスの市場規模が急速に拡大するという見込みを説明した。こうしたストレージサービスにおいて、スケールアウトや容量単価の追求が非常に重要になると指摘。「汎用サーバーでもリッチすぎると言われる。まだまだ密度と容量を追求できるのは?と考えた」とのことで、開発されたのがストレージサーバーの「HP ProLiant SL4500(以下、SL4500)」になる。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 本部長 宮本義敬氏

インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏

 SL4500の詳細について説明した日本HP インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏は、スケールアウトと容量単価というポイントについて、「容量単価が高い従来型のストレージは、ビッグデータを始めるにあたって投資の阻害になっている」と指摘。大容量ストレージをとにかく安価に提供することに焦点を絞ったという。また、ビッグデータに特化した分散処理やスケールアウト指向のアプリケーションが次々と登場する一方、演算性能とストレージ容量のバランス、運用コストへの配慮も問題点になっていると説明した。

市場ニーズと問題点

容量単価を極限まで追求した大容量サーバー

 こうした課題を解決するSL4500は、「ストレージサーバー」という新ジャンルを謳うモジュール型のラックマウントサーバー。中井氏は、「ビッグデータに対してサーバー側からのアプローチ」と説明する。4.3Uのシャーシに、サーバーノードとディスクシェルフ、I/Oモジュール、電源モジュールなどを内蔵しており、サーバーノード以外はホットプラグでの交換が可能だ。サーバーノードは2ソケット対応で、Xeon E5-2400シリーズを搭載。メモリスロットも12個、ディスクシェルフとは別に2.5インチHDDも2台搭載する。最新のGen8テクノロジーにより、iLO Management Engine(iLO4)のリモート管理も利用可能になっている。

未曾有のディスク搭載量を実現したHP ProLiant SL4500(1ノード+60ディスク)の試作機。ただ、サーバー全体の重量や放熱が気になる

 最大の特徴は、もちろんディスクの搭載数。内蔵のディスクシェルフには縦方向に数多くの3.5インチディスクが搭載されており、実物を見るとまさに圧巻だ。台数とディスクの本数にあわせ、容量重視の1ノード+60ディスク、メールやNoSQLに最適な2ノード+各25ディスク、HadoopやVerticaなどのビッグデータ向けの3ノード+各15ディスクのモデルが用意されており、最大容量の1ノードモデルは最大180TBを実現。これらはディスク容量やワークロードの負荷にあわせて選択すればよい。

SL4500シリーズのラインナップ

CPUコアとストレージを柔軟に選択可能

 これだけ多くのディスクを搭載すると、ディスクの障害対応も心配になるが、SL4500ではRAIDコントローラーに「Predictive Spare Activation」という技術を搭載しており、リカバリを迅速化できる。Predictive Spare Activationはドライブ障害となってからスペアディスクにデータを戻す従来のホットスペア回復と異なり、障害予兆を感知した段階でスペアディスクにデータを保存する。これにより、リビルドの時間も短縮でき、各ディスクへの負荷も軽減するという。

障害予兆を感知した段階でスペアディスクにデータを保存する

 ストレージサーバーは容量単価の下落にも大きく貢献するという。大容量を前提に高密度実装を実現したほか、ディスクや電源など共通パーツを多く用いることでコスト削減を実現。従来型NASでは1GBあたり217円だった価格がSL4500では1/6の39円に引き上げられている。

圧倒的な容量単価に注力した

ソフトウェアベンダーと協業しビッグデータ推進

 また、今回はオープンソースをベースにしたソフトウェアの利用を前提とした協業も発表された。従来、ビッグデータはHadoopをはじめとしたオープンソースソフトウェア主導で普及が進んできたが、ソフトウェアが未成熟だったり、サポートに不安があった。しかし、昨今は普及にともない成熟度が向上し、商用サポートも本格化しつつある。

ビッグデータを推進するOSS

 もとよりHPはリアルタイム分析用DBとして「HP Vertica」を持っているが、今回はビッグデータ関連のソフトウェアを展開するSCSK、Cloudera、レッドハットの3社と協業。自社でのVerticaの展開のみならず、他社とエコシステムの形成を進め、ビッグデータの普及に努めていく。具体的にはSCSKが高速を売りとするNoSQL DB「CouchBase」、ClouderaがApache Hadoopベースのビッグデータプラットフォーム、レッドハットが昨年発表したオープンソースのストレージソフトウェアを、HPのサーバー上に実装。これらの検証やリファレンス構成の作成、共同マーケティングを行なっていくという。

 ストレージとサーバーの融合は、インテルのデータセンター戦略でも明言されていた方向性で、CPUの近くに処理対象のデータが存在しているのは、実に自然な形とはいえる。HPは、特にこの種の製品に熱心で、まずはNASのプラットフォーム共通化を進めていたが、今回の発表により、明確に両者の垣根を取り払ったと言える。今後、この流れがビッグデータのみにとどまるのか、エンタープライズの多くの需要に波及するのか、2013年のポイントになると思われる。

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