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「タイムマシン」ビジネスで、まずはインドネシア市場を狙う

眠る携帯コンテンツを東南アジアで蘇らせるグロザス

2012年12月22日 09時00分更新

文● 大河原克行

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まずは、インドネシア。そして、東南アジアを狙う

――ターゲットとなる市場はASEANですか。

「人口2億4000万人のインドネシア市場から成功事例を作りたい」と意気込みを語る津田社長

津田 私自身、富士通時代に、3年間に渡り、シンガポールに駐在した経験があります。25年ほどの歳月を越えて、再び訪れてみると大きく様変わりしている様子には大変驚きました。同様に、フィリピンやマレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、ミャンマーなども大きく発展し、変化している。携帯電話の市場も急速な勢いで広がっている。

 ただ、シンガポール、フィリピン、マレーシアは、英語でもコンテンツを普及させることができる。それに対して、インドネシアやベトナム、タイなどでは現地の言葉での展開が必要になる。特に、インドネシアでは、2億4000万人の人口があり、1人で複数の携帯電話を所有するという使い方が広がっていますし、Facebookの利用者数は世界第4位で、コンテンツに対する関心も高まっている。大きなビジネスチャンスがあると考えられます。最初から大きく手を広げるのではなく、まずはインドネシア市場をターゲットとして、そこで成功事例を作りたいと考えています。

――インドネシアでの現地パートナーとの連携はどれぐらい進んでいるのですか。

津田 インドネシア国内におけるウェブサービスの運用、プロモーションを展開している企業とのパートナーシップをすでに築いています。ただ、この体制だけではまだ不十分なのは明らかです。翻訳をするパートナーや、課金システムのパートナー、あるいは弁護士などとのパートナーシップも必要です。グロザスは産業革新機構が出資して設立した企業ですから、インドネシア政府をはじめ、公的機関とのパイプがあります。こうしたルートを活用しながら、インドネシアの企業との連携を図っていきたいですね。

――2年目以降のビジネスはどう考えていますか。

津田 1年目の今年は、基盤を築くことに力を注いできました。インドネシアでは、Facebookを利用した4種類のコンテンツを提供し、延べ90万人のユーザーから「いいね!」を獲得した実績も出ています。しかし、初年度は赤字です。こうしたプラットフォームビジネスは、短期で儲けを出そうとすると、どうしても無理が出る。ですから、2年目もこの姿勢は変えません。インドネシアの市場に絞り込んで、このビジネスプラットフォームを活用するパートナーを少しずつ増やしていきたいですね。今後は、Eコマースの仕組みなども提供したいと考えていますし、これを通じてログを取得することで、このログデータを活用したマーケティングも可能になる。

 また、ニフティと連携して、ニフティクラウドを利用している企業とのパートナーシップも期待できます。中期的な視点では、100社から平均10本、合計で約1000本のコンテンツを海外市場に展開して行きたいですね。私自身、70歳までは社長をやりたいと考えていますよ(笑)。10年以上は社長をやりたいと(笑)。これは2、3年で結果ができるビジネスではないですし、別の会社から出向してきた社長が腰掛けのような形でやるビジネスではない。ですから、私はニフティの取締役を退任して、この事業に取り組んでいるわけですし、産業改革機構にも、数年は赤字になること前提に、この会社に出資してもらっている。短期で儲けようとは考えず、長期的な視点で、日本のコンテンツプロバイダーとパートナーシップを組みながら、日本発のデジタルコンテンツを世界に広げていきたいと考えています。

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