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「タイムマシン」ビジネスで、まずはインドネシア市場を狙う

眠る携帯コンテンツを東南アジアで蘇らせるグロザス

2012年12月22日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 産業革新機構とニフティにより設立したグロザスが、具体的な動きを開始した。同社は、日本のデジタルコンテンツを、海外の利用者向けに提供するビジネスプラットフォームを提供。まずはインドネシアをターゲットに事業を開始している。すでに、スターマークとグリオの2社が、グロザスのプラットフォームを活用したビジネスを開始している。グロザスの津田正利社長に同社の取り組みについて聞いた。

グロザスの津田正利社長

日本では死蔵したコンテンツを再活用

――2012年5月の会社設立から約半年を経過しました。手応えはどうですか。

津田 まだ、手応えを語れるところまでは行っていない、というのが正直なところです。新たなビジネスですから、焦って収益確保ばかりを優先すると目的を見失う可能性がある。まずは協力をしていただける日本のコンテンツプロバイダーと連携し、一歩一歩着実に地盤を固めているといったところです。

――グロザスのビジネスモデルとはどんなものですか。

津田 ひとことでいえば、「もし、死蔵しているコンテンツがあれば、それをちょっと貸してください。決して損はさせませんから」というビジネスですね(笑)。日本ではわずか数年前まで、ガラケーと呼ばれる携帯電話向けに、たくさんのデジタルコンテンツが利用されていました。ピーク時には、約3000社のコンテンツプロバイダーが市場に参入していたともいわれています。しかし、いまや日本ではスマートフォンが急速な勢いで広がりをみせ、コンテンツが様変わりした。使われていないコンテンツが数多くあるわけです。

 一方で、ASEAN市場をみると、携帯電話を複数台所有するといった動きがみられ、それにあわせて携帯電話向けのデジタルコンテンツが求められている。日本のコンテンツプロバイダーが持つコンテンツを、こうした市場に展開するお手伝いをするというのが、グロザスの役割です。一度、日本で活用されたコンテンツを、これから需要が見込める市場に対して、「タイムマシン」ビジネスの形で展開していくことになります。

――スマートフォン市場では、コンテンツを提供する環境として、アップルのApp Store、グーグルのGoogle Playなどのマーケットプレイスがありますが。

津田 いえ、それらとは大きく異なります。グロザスが提供するのは、マーケットプレイスではなく、海外で展開するためのビジネスプラットフォームです。日本で開発されたデジタルコンテンツを、現地の言葉にローカライズしたり、文化や商習慣、法規制などにあわせて改良したりといったことを支援し、それを現地のパートナーと連携し、販売を支援していくことになります。その上で、マーケットプレイスとして、App Store、グーグルのGoogle Playなどを活用するといったこともあります。社名のグロザスには、地域性を考慮しながら世界規模で展開していくという、「グローカリティ(グローバルとローカルの造語)」な活動を、私たちと一緒(with Us)になって推進していくという意味を込めています。インターネットは世界をつないでいますが、そこでビジネスをやろうとするとまだまだ壁がある。その壁を越えるためのお手伝いをすることになります。

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