ただし、既存のPCI Expressのスロット形状では自由度に欠ける。そこでSATA Expressでは、新たに「SFF-8639」というコネクターを新規に策定し、これを使って接続するという方向が現在検討されている。
SATA Expressがなぜチップセットに影響を与えるのか。これが普及するようになると、PCH側のPCI Expressのレーン数が不足することが考えられるためだ。SFF-8639というコネクターは、PCI ExpressとSATA Expressの共用になっている。ここにSATA Expressコネクターを挿せばSATA Expressとして、PCI Expressコネクターを挿せばPCI Expressとして動作する構造になっている。
このコネクターひとつには、PCI Expressが4レーン割り当てられている。PCI Expressとして使えばx4レーン、SATA Expressとして使えば2チャンネル分という計算になるが、Intel 8シリーズは最大でも、PCI Expressが8レーン分しかない。そこからオンボードのデバイス、例えばGbEや追加のUSB 3.0コントローラー、IEEE1394コントローラーなどの接続分を除くと、実質的にはSFF-8639コネクター1つ分のPCI Expressレーンしか残らない。はたしてこれで足りるのかという議論が、OEM筋から出ているそうだ。
「これで足りるのか」という議論は2点ある。まず、これではSATA Express対応SSDが最大2台しか接続できないのだが、それで十分かという点。そしてSFF-8639に残るPCI Expressのレーンを割り当ててしまうと、従来のPCI Expressスロットが装備できなくなるのが、それでもいいのかという点である。
幸いにもと言うか不幸にもと言うべきか、SATA-IOによるSATA Expressの標準化はまだ完了していない。現在のスケジュールでは「2012年中に完了」ということになっているが、以前は「2012年8月に完了」の予定であったところ、参加メンバー間の調整が付かなかったために延期されていた。だから本当に2012年中で決着が付くのかもはっきりしていない。
仮に決着がついたとしても、そこから最速でSATA Express対応SSDの製品化を進めても、市場に出回るのは5~6月といったあたりになる。これではIntel 8シリーズの立ち上げには間に合わない公算が高い。そのため本格的なSATA Expressの普及は、次の次である「Intel 9」シリーズが投入されると見られる2014年に入ってからと、見ているベンダーが現時点では多いようだ。
もっともその分、9シリーズの仕様に関してはいろいろとリクエストが出ているようで、SATAを4ポートに減らして、その分PCI Expressレーンを増やすといった可能性もあるそうだ。
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最後にExtreme向けチップセットだが、これは「Intel X79」のまま2013年も行くことがほぼ確定した。元々「Intel X58」からX79でも3年ほど間があいており、この市場はこれでいいということになったようだ。
X79の問題点としては、USB 3.0が搭載されていないことだけであるが、ほとんどのX79マザーボードがルネサスエレクトロニクスのUSBコントローラーを搭載している。このルネサス製のコントローラーはWindows 8標準のxHCIドライバーで動作するので、チップセット統合されていなくても、それほど困らないという判断もあるようだ。そのため、現行の「SandyBridge-E」のリフレッシュ品である「IvyBridge-E」はこのままX79で利用し、続く「Haswell-E」ベースの製品に合わせて更新になる。タイミングとしては、2014年になるであろう。
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