防水・防塵であるため、各端子類はカバーに覆われている。カバーをつけることと、この薄さに収めることを両立するためか、USBはmicro USBになっていて、付属のケーブルを併用してフルサイズの機器をつなぐようになっている。
また、メモリーカードスロットもmicroSDカード用だ。どちらも汎用性という点では少々残念だが、あるだけでもプラスではある。おそらく誤操作防止なのだろうが、電源ボタンが少々奥まった形で配置されているのが、使い勝手の面から気になった。電源については、底面にある専用端子、またはmicro USB端子を使って付属のクレードル経由で供給する。
お詫びと訂正:掲載当初、USB端子経由での充電をできないとしていましたが、正しくはできました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2012年12月14日)
Windowsアプリが「快適な速度」で動く!
これまでのAtomとは大きく違う速度
QH55でやはり気になるのは、「PCとしての使い勝手」だろう。率直な第一印象を言えば、「あれ、普通に使える」という感じだろうか。Atomを使ったPCといえば、性能面で正直かなり厳しいものばかりだった。もちろん、軽い用途であればできることもあったが、「これをメインマシンにしろ」と言われると、困惑するようなものばかりだったのは間違いない。
だがZ2760を使ったQH55は、かなり快適だ。もちろんCore iシリーズを搭載したUltrabookなどと同等……とはいかない。特にOSやアプリの起動速度、アプリを複数切り換えながら使う時のもたつきなどは顕著で、高速なPCとはいえない。しかし、その水準はあくまで実用に足る範囲であり、これまでのAtomよりはかなり早い。
筆者宅に残っているAtomマシンとしては、2009年末発売の「VAIO X」(Atom Z550 2GHzを採用)があったが、これと比較するとQH55は体感で2倍近くは速い。メモリーが2GBしか搭載されていないので、その関係でのもたつきもあるのだろうが、「これで仕事をしろ」と言われても躊躇しない程度には高速化した、といって差し支えない。
Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「3.2」。ボトルネックはグラフィックスだが、CPUの値も「3.5」と速いわけではない。とはいえ、この数字から受ける印象ほど性能が低いとは感じなかった。
Windows RT搭載の「Surface RT」などと比べてどうかと言うと、正直「RTの方がちょっと素早いかな?」というくらい。Windows RT製品は意外と動作が素早い。まったく同じアプリケーションが動作するわけではないので、x86と同列の比較は難しいが、WindowsストアアプリやOffice 2013 Preview版を使う限りにおいては、Windows RT製品はかなり快適に使える。
QH55での動作状況は、正直それよりは体感でわかる程度に劣るというのが、筆者の感想だ。しかし、その差は致命的なほど大きなものではなく、Windows RTを使ったことがない人の目で見れば、「立派に使える」と感じるレベルといえる。
それでいてAtomを使っているQH55では、既存のWindows用アプリ(32bit版)がほぼそのまま動作する。これは強力だ。Windowsストアアプリが充実していない現在、Windows RTやWindows 8のモダンUI環境を中心に使うのは(まだ)難しい。しかしWindows用アプリは大量に存在しており、今までどおりのワークフローが成立する。QH55はタブレットだが、micro USBやBluetooth経由でマウスやキーボードなども接続できる。それらを使えば、問題なく「PC」として使える。これはやはり、QH55の最大の魅力である。
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