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山谷剛史の「アジアIT小話」 第36回

Angry Birdsも尖閣問題に!? 中国の反日B級ゲームをプレイ

2012年12月11日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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尖閣問題を題材にしたB級ゲームたち

尖閣問題を題材にしたゲームも多数登場

尖閣問題を題材にしたゲームが多数登場

 尖閣グッズが登場する一方、尖閣ゲームも登場したのでまとめて紹介しよう。尖閣ゲームなので「主人公は中国、敵は日本」となるわけだが、太平洋戦争ネタでは、たとえばカプコンの「1942」からはじまるシリーズも米戦闘機が日本軍と戦うゲームであり類例はあるので、斜に構えて見ていただければ幸いである(あくまでB級なので、もし試すのであればセキュリティーソフトなどの準備は怠りなく)。

王道は縦型シューティング

「収復釣魚島」のタイトル画面(左)とゲーム画面(右)

 「収復釣魚島」は、中国船が自衛隊の戦闘機や機雷や軍艦を連射で一掃する縦シューティングゲームだ。

 中国船を方向キーで移動させ、加えてショットの方角もマウスで調整することができる。尖閣諸島に向かって船は進み、島に到着したら終了であり、スコアアタックの要素もある。中国でも過激な論調の日本叩きをしがちなニュースサイト「環球網」がリリースする点も興味深い。

「釣魚島対戦2」のタイトル画面とゲーム画面

中国船が主人公のSTG「釣魚島之戦」は似ているが、日本軍が強すぎてストレスがたまる(?)

中国船が主人公のSTG「釣魚島之戦」は似ているが、日本軍が強すぎてストレスがたまる(?)

 中国のゲームセンターでは昔からシューティングゲームが人気で、その延長なのか尖閣モノではオーソドックスな縦シューティングゲームが多い。オーソドックスゆえにとっつきやすいが、その中でもソニックウィングス系のSTG「釣魚島対戦2 」は完成度が高い。

ガンシューティングや横スクロールアクションも

「釣魚島保衛戦」のタイトル画面とゲーム画面

 ゲームセンターではガンシューティングゲームもよく置かれている。「釣魚島保衛戦 」は中国の戦車に迫り来る日本兵を撃つガンシューティング。

「しまじろう奪還尖閣諸島」のタイトル画面とゲーム画面

 中国の都市部の家庭で近年、人気急上昇中のベネッセの学習教材。そのキャラクターの「巧虎(しまじろう)」が主人公で尖閣諸島を奪還するゲームが「巧虎収復釣魚島」だ。

 子供向けと思われるこのゲーム、敵が人気ゲーム「プラント vs. ゾンビ」のゾンビであるのは、子供に「鬼子とはゾンビなんだ」と教えるためだろうか。聞いていると不安になってくるエンドレスで続く音楽と「たけしの挑戦状」を思い出す操作感が懐かしい。

「AngryBirds」が銃器を構え……

「尖閣諸島を守れ!AngryBirds」のタイトル画面とゲーム画面。もちろん、本家のRovio Entertainmentが開発したものではない

 尖閣奪還のためなら何を素材にしてもかまわないと言わんばかりに、人気ゲーム「AngryBirds」のキャラクターもまた「尖閣は中国のもの」という訴えのために勝手に借り出される。

 「尖閣諸島を守れ!AngryBirds(憤怒的小鳥保釣島) 」というゲームは、主人公の赤い鳥が、上から落ちてくる豚の風船を割り、上陸を阻止するというゲーム。風船を割り損ねると、豚は上陸し、鳥の足下に迫る。意気揚々とした音楽が流れるが、簡単に言うと「プーヤン」である。

「保衛魚釣島」のタイトル画面

「保衛魚釣島」のタイトル画面。右側にちょび髭の日本兵が

 「ちょび髭の間抜けな日本兵と勇ましい中国兵」という中国のテレビドラマにありがちな設定をゲームで味わうなら「保衛魚釣島」。角度を合わせて相手の船に大砲を撃ち込むゲームだ。ゲーム性はイマイチだが、先入観で懲り固められた音楽と画像が織りなす雰囲気は見てもいいかも。

 以上、尖閣問題発生後にリリースされたゲームの、そのまた一部タイトルを紹介した。このようなB級ゲームは中国で日々誕生している。中にはトンでもないゲームがあるかもしれない!?


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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