飛行機の整備は何種類かある
今回は「C整備」を見学
取材陣はオペレーションセンターから、空港内にある整備工場「日本航空 成田第1ハンガー」に移動した。ここは事務棟のすぐ裏側に巨大なハンガーが広がる、JALの整備施設の要だ。
飛行機には大きく分けて2種類、細かく分けると5種類の定例整備がある。「運航整備」と呼ばれる「T整備」は、着陸した飛行機が次のフライト前に毎回行なう点検である。空港のゲート前で飛行機を見ていると、整備士が機体の周囲を回りながら各部を点検しているのをよく目にするが、あれのことだ。目で見て回るだけでなく、パイロットから不具合の情報を聞いて、簡単に交換できるものならその場で修復も行なわれるという。
整備にかかる手間順に見ると、その次の段階が「A整備」。1~2ヵ月ごとに実施され、格納庫で一晩ほどかけて行なわれるチェックだ。夕方に着いた飛行機を、朝の出発までに点検するといったペースで行なわれるという。エンジンカバーを開けて点検したり、必要ならオイルを足したりといった整備を行なう。
今回見学する機体は、「C整備」と呼ばれる整備を行なっている(重整備とも)。整備の概要を説明していただいたJALエンジニアリングの竹村氏によれば、「車検のようなもの」とのことで、1~2年ごとに開けられる部分は全部開けて、1~2週間かけて状態を確認して整備を行なう。今回は「K整備」(構造整備)も合わせて行ない、18日間の予定が組まれているという。さらに細かく細部まで点検する「M整備」になると、5~6年間隔で1~2ヵ月をかけて行なうそうだ。
なお、現在の旅客機は時間を決めて分解・整備するような整備だけでなく、常に機体自体が各種センサーからの情報を記録して、異常があれば報告して該当箇所を整備する「コンディションモニタリング」に切り替わっているという。例えば「エンジン排気温度」を記録し続けておき、温度が異常な値を示すようになると、エンジンに問題有りとしてすぐに整備に回される。こうすることで、定期点検のタイミング以外でも異常があればすぐに整備できるシステムが作られているというわけだ。ちなみにボーイング777では、機上でのこうしたデータ保存にMOディスクを使っているそうだ。PC分野ではほとんど見かけなくなっただけにちょっと驚いた。