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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第6回

ヒトも機械も意外と同じ。Siriから学ぶビジネス会話

2012年12月07日 09時00分更新

文● 前田知洋

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 最新のスマートフォンに搭載されている音声認識、じつはスゴイ技術が使われている。たとえば、「東京」という単語だけでも、「トウキョウ」や「トーキョー」など人によって微妙に発音が違うからだ。単語だけでなく、文で意味を理解するのは、さらに難しい。「東京の天気は?」なら大丈夫でも、「明日、東京の天気は?」になると3つの単語が絡み合ってる。友人に「明日、東京は晴れるの?」って聞いたら「明日と今日?どっちの天気?」って聞き返されたことがあった。「あす、とうきょう」と「あすと、きょう」を聞き間違えたらしい。

iPhoneなどで利用できるSiriは音声入力技術を応用した機能だ

使えない!なんてガッカリする前に

 たとえば、「田中さん」といえば田中さん本人を指すけれど、「田中さんのネコ」といえばペットのことだし「田中さんのネコの首輪」といえばペットのアクセサリーのことだし、「田中さんのネコの首輪を飼ったお店」だとお店が主体になる。単語が「入れ子」になった状態で、日本語や英語はもちろん、どんな言語でも共通にある構造だといわれている。人間はそんな構造を自然に理解するが、機械にとっては文にある意味を理解することは、とても難しい。

マジシャンのセリフの秘密は余計なことをいわないこと

 「タネも仕掛けもないトランプです」、昔のマジックはこんなセリフではじまることが多かった。しかし、近代になると「仕掛けがないのなら、それをワザワザ言う必要があるのか?逆にあやしいのでは……」と現代のマジシャンの間で論じられ、ただ「トランプです」などシンプルなセリフをいうマジシャンが世界中で増えてきた。

マジックを披露する前にシンプルな説明で済ますマジシャンも増えた

 考えてみれば、道で「ちょっと、すいません。僕は怪しいものではないんですけどね……」なんて知らない誰かが話しかけてきたら、それだけでスゴく怪しい。「すいません。〇〇駅に行くには……」とシンプルに話しかけたほうが、相手は質問の意味をすぐに理解する。

 普段の会話やTwitterでも、ちょっと余計な一言を加えてしまい、相手に誤解されてしまうことが度々おきる。だからといって、単語だけでコミュニケーションをとるのはちょっと悲しい。「メシ!」「フロ!」「ネル!」の3つの単語で家庭内の会話を済ませてしまえたのは、遠い昔の話なのだろう。一部の人はコッソリと憧れるのかもしれないけれど……。

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