「3番目のOS」問題
Windows Phone 8にチャンスはあるのか?
iOS、Androidに続く、3番目のエコシステム確立を狙うMicrosoftだが、Windows Phone 8で今度こそ離陸するのか? ともにWindows Phoneを製品ポートフォリオにもつSamsungとLGだが、見解は異なる。
LGのJang氏は比較的楽観視しているようだ。「Microsoftにチャンスがあると思う。多くの人は、好むと好まざるとに関係なくWindows 8に触れることになる。ユーザーがWindows 8に慣れると(同じインターフーイスを持つ)Windows Phone 8を使ってみようという気になるのではないか?」とJang氏。3番目のOSが誕生するにあたっての障害として、「ユーザーが新しいUIを学ぶ必要がある」「サービスやアプリと端末との“ニワトリと卵”の関係」を挙げ、Windows 8により、1番目の問題は克服できるという。
一方、SamsungのPackingham氏は若干見解が異なる。「多様性は全員にとって関心のあるところ」と述べる一方、「Androidのメリットは柔軟性を念頭に構成されており、われわれにとって使いやすいこと、(アプリなどの)マーケットプレイスが確立されていること。Androidを欠陥のあるOSとして扱うべきではない。われわれはGoogleと良好な関係を築いている」と続けた。Samsungの成功はAndroid戦略が大きく貢献しており、自社の成功の立役者であるAndroidを擁護した格好だ。
むしろ、Intelと共同で進めているHTML5ベースのモバイルプラットフォーム「Tizen」を挙げ、「われわれにとっての“3番目のOS”はTizenだ」と述べる。先進国市場以外で「チャンスがある」と述べ、「現在のOS戦略にビジネスリスクがあるとは思わない。だが、代替を持つときだとも思う」とも続けた。
Windows Phone 8については、SamsungのWindows Phone 8ライン「ATIV」を紹介し、熱意をもっているとする。だが、「Microsoftはオペレーターのハートをつかむ必要がある。AppleやAndroidからWindows Phoneに移行したいと思わせるにはどうしたらよいか、これを考える必要がある」とMicrosoftの課題を挙げる。
オペレーターの気持ちを変えるのは簡単なことではなく、セールスチームのトレーニングなど小売側の努力も必要と、シビアな目を向けた。
タブレットではAmazonのKindleが
Androidタブレットに大きく貢献している
タブレットについては、アメリカで好調なAmazon Kindleが取り上げられた。Amazonは、タブレットそのものは赤字覚悟で、コンテンツを促進するためのハードウェアとしてKindleを位置づけている。これらがメーカーにどのような影響を与えるのか?
SamsungのPackingham氏は、「Amazonがやったことは興味深い。(コンテンツを売るという)Amazonの戦略を追求する上で、効率のよい方法で、Androidタブレットにとって大きなプッシュとなった」と認める。結果としてiPad独占で進んだタブレット市場にAndroidが市民権を得て「カテゴリ全体が変わった」と述べる。
ただし、自社への影響については直接はコメントせず、11月初めに発表した「Nexus」を紹介し、Amazonが狙うエントリーレベルとは一線を画すことを強調した。「ハイエンドカテゴリーは大きな可能性があり、さまざまな方向に進化するだろう。われわれの持つTV、PCなどの製品と好循環を起こすという観点で製品ポートフォリオを作りたい」とPackingham氏。
これまでタブレットを大きくプッシュしてこなかったLGは、「MicrosoftのSurface投入など、市場が大きく動いている。ノートPCやウルトラブックもタブレットカテゴリーの方向性に向かって進化している」と動向を注視している姿勢を語った。