
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「iPad mini」が好調なワケ
「iPad mini」の出足が好調らしい。Appleの発表(11月6日)によれば、全世界で発売されたiPad miniとiPad Retinaディスプレイモデル」(第4世代iPad)の販売台数は、11月2日から4日までの3日間で300万台に達したという。今年3月発売の第3世代iPad(Wi-Fiモデル)に比べ2倍のペースというから、Appleの目論見は当たったといっていいだろう。
ここでいう目論見とは、いわゆる「ダウンサイジング」を指す。発売前は、ジョブズ前CEOが(他メーカーの7インチタブレットに)批判的だったことを言に借り、7インチタブレット不要論めいた意見まで登場していたが、少なくとも市場は肯定的な反応を示した。
それにしても、iPad miniがウケている理由はどこにあるのだろう。実際手にしてみると、約300gという重量はかなり軽く感じられ、従来のiPadを敬遠してしまうものだが、それが最大の理由としても唯一の理由ではないはず。
「iPhone 5」の「テザリング」と組み合わせやすい
ひとつは、「iPhone 5」で可能になった「テザリング」との組み合わせが効果的なこと。これまでWi-FiモデルのiPadを移動中に使おうとすると、モバイルルーターを持ち歩くか、通信費がかかるWi-Fi+Cellularモデルを選ぶしかなかったが、iPhone 5のユーザーであれば追加費用は発生しない。アクセス速度の上限は2Mbps程度になるが、テザリングの接続にBluetoothを選べば、iPhone 5がスリープ中でも自由に通信をオン/オフできる。速くはないが、接続のつどiPhone 5を操作する必要がないのはうれしい。
意外と音がいい
もうひとつは、意外(といってはナニだが)に音がいい、ということ。現在iOSデバイスは、「iPhone 4」以降一貫してCirrus Logic製DACを採用しているが、iPhone 3GのDACはWolfson製だった。DACの音質からすると、オーディオ的にはコストダウンと受け取られるもので、実際iPhone 4や「iPhone 4S」の音質評価はそれなりだったと記憶している。iPad miniも……と予想していたところ、同じ曲をiPhone 5と聴き比べるとS/N感で勝る印象を受けた。
なお、ハードのスペックで共通項が多い「iPad 2」には、Cirrus Logic製の「CLI1S546A0」(刻印はAppleブランドで「338SC9409」)が搭載されていた。未確認情報だが、iPad miniのDACは第4世代iPadと同じ「338S1116」との報告があり、以前のiOSデバイスに比べ音質面で改良されている可能性が高い。

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