GPUによるアクセラレーションの効果を試す
冒頭で述べたが、ロウアーミドルやローエンドはGPUによる2Dアクセラレーションや動画エンコードの高速化などにオススメ。ここでは、Intel「Core i」シリーズが内蔵する「HD Graphics 4000」(Core i5ー3570K内蔵)とGeForce GTX 650、GT 640を比較してみた。
型番 | HTML5 の Webベンチマーク | |||||||
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型番 | Rectangle | CPU/GPU 最大使用率 |
Text | CPU/GPU 最大使用率 |
Circle | CPU/GPU 最大使用率 |
BitBit | CPU/GPU 最大使用率 |
Intel HD Graphics 4000 | 286327 | 8%/51% | 171159 | 26%/77% | 100300 | 30%/42% | 156410 | 6%/58% |
GT640-2GD3 | 309837 | 6%/35% | 296956 | 18%/44% | 108283 | 27%/39% | 306748 | 5%/49% |
GTX650-DCT-1GD5 | 310318 | 4%/42% | 304182 | 19%/38% | 108225 | 32%/22% | 310559 | 5%/53% |
GTX650TI-DC2T-1GD5 | 309119 | 4%/49% | 303490 | 17%/68% | 106980 | 28%/45% | 306983 | 4%/13% |
まず、HTML5によるウェブベンチマークの「HTML5のWebベンチマーク」を試すと、テキスト描写時にGPU性能差による2Dアクセラレーションの影響が顕著に出ているのがわかる。スコアーも大幅にアップしているが、注目はベンチマーク実行中のCPU使用率で、HD Graphics 4000での描写時と比べて10%前後軽減している。
より顕著にGPUの効果がわかるのが、動画エンコードだ。「ムービーメーカー 2012」によるエンコード時間は、HD Graphics 4000でのエンコード時から3分以上も短縮している。
なお、エンコードは解像度が1440×1080ドットで、長さが17分30秒になるm2tファイルを1280×720のmp4ファイルに変換した際の時間だ。
クーラー性能をチェック
今まで同様に、4モデルのGPU温度やファン回転数、騒音値を測定しよう。GPU温度とファン回転数は、アイドル時がOS起動から10分経過後、高負荷時が「3DMark11」のデモを15分間連続実行した際の最大値をASUS独自GPUツールの「GPU Tweak」で計測。騒音値はPCケースに組み込んでいないバラック状態で、CPUクーラーなどのファンを停止させ、出力インターフェース部から15cmほど離れた位置で騒音計を使って測定している。
ロウアーミドル、ローエンドモデルのクーラー性能も文句なしといえる結果になっている。GTX650-DCシリーズの採用するDirectCUクーラーは、シングルファンになるが、さすがDirectCUの名を冠するだけあって、高負荷でも36.1dBと十分静かなレベルになっている。ただ、シングルファン、ヒートシンクの小型化、ヒートパイプの減少の影響は出ており、上位の「GTX650TI-DC2」と比べてオーバークロックモデルの「GTX650-DCT-1GD5」は、GPU温度が14度も上がっていた。
また、「GT640-1GD3-L」もGPU温度と騒音値が高めだ。これは、放熱面積の少ない小型ヒートシンクと4cm&高回転ファンの影響で、サイズが限られるビデオカードの宿命ともいえる……。
型番 | GTX650-DCT-1GD5 (2スロット/DirectCU) |
GT640-2GD3 (2スロット/Dust-proof Fan) |
GT640-1GD3-L (2スロット/Dust-proof Fan) |
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ファン出力 | 回転数 | 騒音値 | 回転数 | 騒音値 | 回転数 | 騒音値 |
10% | 1050rpm | 35.1dB | 1200rpm | 34.9dB | - | - |
20% | 1050rpm | 35.1dB | 1200rpm | 34.9dB | - | - |
30% | 1140rpm | 35.6dB | 1470rpm | 36.2dB | - | - |
40% | 1890rpm | 39.7dB | 2160rpm | 44.2dB | - | - |
50% | 2610rpm | 48.6dB | 2790rpm | 51.9dB | - | - |
60% | 3240rpm | 55.5dB | 3390rpm | 56.3dB | - | 40.6dB |
70% | 3780rpm | 60.2dB | 3750rpm | 59.6dB | - | 42.5dB |
80% | 4290rpm | 63.4dB | 4260rpm | 63.3dB | - | 44.1dB |
90% | 4320rpm | 63.9dB | - | - | - | 46.8dB |
100% | - | - | - | - | - | 49.6dB |
続けて「GTX650-DCT-1GD5」、「GT640-2GD3」、「GT640-1GD3-L」の3モデルで、うるさく感じる50dB台にどのくらいのファン回転数で到達するかを試すと、GTX650-DCT-1GD5は3240rpmの60%で50dBをオーバーした。高負荷時の回転数は1230rpmなので、よっぽどエアフローの悪いPC環境に搭載しない限り、40dB台で使えると思われる。
ロウアーミドル&ローエンドも
妥協なくカスタマイズ
低価格帯のロウアーミドルやローエンドも、GPU毎に入念に検証され、冷却性能と静音性のベストなバランスにカスタマイズされているのは、ここまで紹介してきたビデオカードとまったく同じといえるだろう。
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