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イエデンワとストラップフォンの父に誕生秘話を聞いた!

2012年11月30日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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インパクトが強烈なPHS
ストラップフォンの登場理由

──では、ストラップフォンからお聞きしたいと思います。ここまで小さくした理由は何でしょうか?

檜山 日本人は昔から小さいのが好きですよね。じゃあ、どこまで小さくしても使えるのかと研究していました。フリスクってお菓子があるじゃないですか。黄金比じゃないんですが、いい大きさだなと。

──ちょっと小さすぎじゃないですか?(笑)

檜山 もちろん、使いづらいですよ(笑)。人間工学的なことはすべて排除して、どこまで小さくできるか? ABITは内部デバイスを作っている会社なので、小さくするのは得意なんですよ。あとはデザイン性の追求ですね。不便なんだけど、手にしたいと思わせるデザインを目指しました。そして、コンシューマーブランドを作りたかったというのもあります。

──だから、尖ったものになったと。

檜山 そのおかげか日本の方々に受けて、デザイン業界と製品開発系の方から絶賛の声をもらいました。外国の方々は小さいものよりは、使えるものなので。有名ブランドとのコラボとかゴテゴテした高級感を好む傾向にあるので、あまり反応はありませんでしたね。日本人は2通りあって、便利でなんでもアリを好む人と、尖っているものが欲しい先鋭的な人がいるんですね。後者を狙う感じで、ストラップフォンを投入してみました。

ストラップフォンの有機ELディスプレー。触ったら割れちゃいそうなほど、ものすごく小さい!

──それでは、ストラップフォンの開発で苦労した点は?

檜山 やっぱり、生産数がそんなに多くないので、ビジネス面での苦労がひとつ。あとは国内生産で組み立てにも時間がかかるので、今所有している人はすごくラッキーですね。実はこの組み立てが大変で、小さいながらもいかに高級感を出すかという部分で苦労しました。

──フレームはアルミですよね。

檜山 発表自体はiPhone 3GSより前なので、デザイン路線でいうと似ている部分はあります。アルミの行程だけで18工程があるんですよ。大田区在住の匠のおじさんが手作りしています。iPhoneだと大量生産前提なので削り出しなんですが、こちらは1枚のアルミを絞って作っています。中央のボタンもアルミですね。本当は見えているネジを隠すべきなんですが、特殊ネジであえて見せています。あとはキーですね。これもパッと見はわからないんですが、0.1mm単位で段差がついています。たとえば、1414と押す場合は親指の腹だけで押せちゃう。本当は全面有機ELにしたかったんですが、ボタンを押せないんですよ、小さすぎて(笑)。だから有機ELはモニター部分だけになりました。

ストラップフォンの構成パーツ。左上にあるのがアルミの板で、それを絞ってフレームの形が変化していく行程も確認できる

たしかに真横から見ると、テンキー部分は微妙に高さが異なっている

──アクセサリーとして持っている人もいますよね

檜山 そういったところも狙っています。宝石的なイメージですね。フリスクを入れる、フリスクケースがあるじゃないですか。それにもスポッと入るんですよ。ターゲットは40代の男性で、ちょっとお金持ちのおじさんというか。そんな人たちが若い人に見せびらかしたくなるようなものしたかったんです。

ストラップフォンをネックストラップにつけているという人も多い

──しかし、よくこの企画が通りましたね。国内のケータイ事情からすると、ものすごく冒険的です。

檜山 ウィルコムさんはすごく勇気があったと思います。感謝感激です。

──開発期間はどれくらいなのでしょうか? また、スマホ全盛期において音声端末にした理由もお聞かせください。

檜山 開発は1年半くらいです。PHSとスマホとの相性の悪さもありますが……音声面ではいいんですが、データ通信だと厳しい。そういう意味では、DIGNOはいいコラボでした。そういったところから音声端末になっていますが、スマホにストラップとしてつければいいじゃないですか(笑)。2台持ちしても、PHSなら料金も安いですし。

 また、ABITは計測機器を作っているので、少し先の状況が読めるのもあります。LTEでデータ通信に偏重するだろうから、音声端末のみで2台持ちはどうだと言えるわけです。高機能端末になると、スマホを見ながら電話ということもあるじゃないですか。スピーカートークもありますが意外と恥ずかしいし、音声がちゃんと聞き取れないとダメだし、聞かれちゃまずい内容もあるじゃないですか(笑)。

ストラップフォンのレビューでも紹介したが、ストラップホールを利用しての組み合わせはとても便利

──たしかに(笑)。

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