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まつもとあつしの「メディア維新を行く」第35回

LINEに至る道、そしてこれから。

2012年11月27日 09時00分更新

文● まつもとあつし

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ソーシャル全盛のなか、敢えて逆を突く

 ブロガーのコグレマサト氏との共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』で詳しく述べたが、LINEを単なる無料通話・メッセージングアプリと捉えていては、その本質は見えてこない。

『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』コグレマサト・まつもとあつし共著

 本書執筆にあたり、あらためてインタビューさせていただいたNHN Japanの舛田執行役員は、LINEの企画段階を振り返り以下のように述べている。

 「最初にやったのは、ありとあらゆるウェブサービスがあるなかで、人間のコミュニケーション・関係性を踏まえたときに、どのサービスがどのポジションを担っているのか、ニーズをおさえているかのマッピングにチャレンジしました」

 Facebookが世界中に拡がりを見せるなか、桝田氏はそこでのコミュニケーションと人間関係が「オープンでパブリックなもの」だと気づく。本稿の読者であればもちろん、Facebookにも1対1のメッセージサービスもあれば、投稿内容の公開範囲の設定もできることを知っているだろう。

 しかし、それらの機能はFacebookの表層から1段あるいはそれ以上降りたところに用意されている。多くの人にとって、それらの機能は扱うことが難しかったり、そもそもその存在にすら気がついていないものなのだ。

 Facebookはもちろん、Skypeなど既存のサービスはPCベースとして生まれ、発展を続けてきた。LINEが軸足を置くのはあくまでもスマートフォンだ(PC版も用意されているが、機能の充実度や使い勝手からみてもスマホ版に優先度があることはあきらか)。PCの知識が無い、あるいはそもそも自分専用のPCを持っていない10代にも支持を拡げたのは、スマホシフトへの適応があってこそだ。

 本稿前半で振り返ったように、日本では挑戦者の立場であるNHN Japanは新サービスの投入にあたって慎重に検討を重ねた上で市場に参入する。Web 2.0のコンセプトの1つである“永遠のβ版”といった考え方とはかなり異なっていることも、このLINEの出自からも見て取ることができるのだ。

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