キーワードは「簡単」「便利さ」「ユニバーサル」
ソーシャルとの連携も
後段のパネルに登場したGoogle Walletを率いるOsama Bedier氏(ウォレット&決済担当バイスプレジデント)は、VISAやAMEXの幹部らとともに、「顧客はクレジットカードを使った決済に問題を感じていない」というMarcus氏の見解に同意する。
だがその先の考え方としては、AMEXの戦略・事業イノベーション担当シニアバイスプレジデントのJoanna Lambert氏が「決済をもっと簡単に。基本的な決済をデジタル化する」と述べ、GoogleのBadier氏は「カードを置き換えるだけでは不十分」とし、小売店にとっては広告やマーケティングなどの価値を提供する必要があると述べた。
実はGoogleのBadier氏は1年前にもこのイベントに参加していた。Google Walletのローンチ直後でNFCに自信を見せていた当時とは違い、今年のパネルではほとんど「NFC」という言葉を口にしなかった。冒頭に紹介したPayPalのMarcus氏の「存在しない問題を解決しようとしている」への回答だろう、「解決する問題がないともみえるが、小売りにとってチャンスとみることもできる」とBadier氏は述べるが、歯切れは悪い。
同時に「(モバイルやソーシャルなどが実現する)新しい時代に移るにあたり、コンシューマーはショッピング体験に摩擦を感じている。これまでの技術の歴史ではじめて、コンシューマーの行動が技術の範囲を超えた」とし、技術プロバイダ側がニーズをみたしていないのでは、という見解も示した。
「この分野はスタートしたばかりだ。拡張性のあるソリューションを提供しているところはまだ存在しない」とBadier氏は述べ、今後もGoogle Walletをユニバーサルにしていく考えを強調した。GoogleがドラッグストアチェーンのWallgreens、衣料品店のGAP、百貨店のMacy'sなどと提携しているのに対し、Squareはこれまで個人商店が主だ。
AMEXではソーシャルとモバイルで費やす時間が長くなっているという顧客の変化を受け、Facebookとの協業を通じて支出グラフとソーシャルグラフの連携を模索しているようだ。VISAは銀行口座が普及していない途上国などの市場でモバイルは大きなチャンスがあるとした。モバイル決済技術が乱立していることも指摘し、「重要なことは、多くの企業が参加し、どこでも利用できる仕組みだ」。