発色は暖色より 色調整には物足りなさも
ディスプレーにとって重要な画質の面はどうだろう。U2913WMは「AH-IPS」液晶パネルとLEDバックライトを採用し、上下左右の視野角178度、色域はsRGBの色空間カバー率99%以上をうたっている。
記者が購入したU2913WMは、OSDでの色設定「標準」の状態で見ると、一般的なパソコン用ディスプレーと比べて、かなり暖色よりの表示であった。色温度で言うならば6500K程度で、青みがかかった寒色よりのディスプレーと並んでいると、その差は歴然としている。
OSDはディスプレー前面右下にある、4つのタッチセンサーボタンで設定する。OSDの項目には、輝度/コントラストの調整や入力信号の切り替え、ディスプレーの細かい設定や、ショートカットキーの設定(カスタマイズ)などが用意されている。
ショートカットキーとは、電源ボタンとなりのボタンに触れてOSDを表示させたときに出る、左端と左から2番目のボタンで選べる機能のことだ。例えばここで表示したい入力端子を割り当てておくと、OSD表示とショートカットキーの2回の操作で信号選択を切り替えられる。記者の場合、ここにDVIとDisplayPortを割り当てて、メインマシンとThinkPadの表示を切り替えられるようにしている。
色の話に戻ろう。U2913WMの色設定は、基本的にプリセットモードからの選択が主で、細かく自分好みの色に合わせて調整するものではない。プリセットモードは7種類で、これにRGBのバランスを調整できる「ユーザーカラー」が加わった合計8種類から選択することになる。「標準」や「ムービー」、「ゲーム」といったプリセットはパラメーターを変更できない。
色設定で「色温度」を選んだ場合、5000Kから10000Kまでに用意された6段階の色温度設定からひとつを選ぶ。細かく色温度を変更して、発色を調整するといった機能はない。ユーザーカラーもRGBそれぞれを0~100から選ぶ方式となっている。写真家やイラストレーターの作業用ディスプレーのように、厳密な色の再現性を重視する用途には、U2913WMの色設定の調整は物足りない。あくまで一般的な家庭やビジネスでの使用を想定した程度と言えよう。
一方、OSDの設定で興味深いのが「PBP」設定だ。「Picture by Picture」の略だと思われるが、これはU2913WMの画面を左右に二分割して、2つの入力からの画面を左右にそれぞれ並べて表示するものだ。各画面の表示サイズは1280×1080ドットまでになるが、2画面を隙間なくピタリと並べて同時表示できる。どの入力信号をどちらに表示するかは、もちろん任意に設定できる。
2台のパソコンの映像を同時に見ながら作業したり、2台の画面を同時に表示してデモを行なうといった用途に適する。……アーケードゲーマーの方には「これダライアスIIに最適じゃね?」と言えば、イメージが伝わるだろうか。(記者はウォリアーブレードの方が好きですが。ダライアスバーストACはやったことないんで……)
ただし通常のパソコンやグラフィックスカードでは、1280×1080ドットなんて解像度には対応してないので、カスタム解像度設定を作るか、1280×1024ドットで表示(若干縦に伸びる)することになる。上の写真では1280×1024ドット表示を2画面並べているが、違和感はほとんど感じなかった。