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年末年始の里帰りをサポート! 最新カーナビはここまで進化した! 第1回

帰省シーズン到来! カーナビを買う前にカーナビを知ろう

2012年11月21日 12時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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どんどん進化するカーナビ
最新のデジタルテクノロジーを体験しよう

 ASCII.jpでは久々となるカーナビ特集。これまでは基本的にPNDにスポットを当ててきたが、今回の特集では、2DINメインのフルナビを中心に紹介すると共に、レビューでは最新のPNDを筆者が実際に使って出張に行った様子をレポートしよう。

 第1回はカーナビに関するおさらいと、最新のカーナビ事情を解説する。ちょっと文字数が多めになってしまうが、最後まで読んでいただきたい。

カーナビの歴史を振り返る
技術の進化は未来を当たり前にした

 カーナビが初めて市販されたのは、もう30年も前になる。ホンダが1981年に発売したアコードに搭載されていたものが元祖と言われている。透明なフィルムに地図が印刷されており、走った経路が光って表示されるという簡易的なもので、進行方向を自分でセットしなければいけなかったり、地図の範囲外に行くと別の地図に取り替えなければいけなかったりという、かなりアナログ的なものだった。それでも、当時は未来のツールとして注目された。その後、1987年にトヨタがクラウンにCD-ROMに地図データを収録したナビを発売。それでも自車位置は自分で入力しなければいけなかった。だが、ここから加速度的にカーナビは進化していくことになる。

いまや当たり前のようにクルマに搭載されるカーナビ。もう30年の歴史があるのだ

 1990年に入るとカロッツェリアが世界初のGPS搭載ナビをリリース。地図はスクロールせずに、端まで来ると切り替わるタイプだったが、それでも自車位置を入力する手間がなくなったのはエポックメイキングだった。値段はモニター別で35万円を超える金額だったが、その画期的なシステムゆえに多くの支持を集めた。ちなみに、このときの型番「AVIC」は今でもカロッツェリアのカーナビで使われている。また、最新のサイバーナビ「AVIC-VH99HUD」が32万円前後ということを考えると、これだけテクノロジーが進化しても値段はほぼ据え置きというのは、カーナビ市場を牽引しているというカロッツェリアのプライドだろうか。 

20年の間にカーナビはここまで進化した。これはカロッツェリアの最新モデル「AVIC-VH99HUD」。ARを使ったナビゲーションが近未来すぎると話題になった

 1993年になるとカーナビ業界にソニーが参入。20万ちょいという低価格を武器にシェアを広めていく。パナソニックはこの流れとは逆に上質を目指したハイエンドナビを50万円以上の価格で発売するなど、ユーザーの選択肢が幅広くなったのが90年代であった。サンヨー(当時)からゴリラの1号機が出たのも90年台半ばだった。ソニーが広げたシェアを、アルパインがルート探索機能をウリに奪い、さらにパイオニアとパナソニックが1997年にDVDナビをリリースして、カーナビ業界の確固たる地位を築き上げた。

 2000年台に入るとDVD以上の容量と動作の速さを実現したHDDナビが登場する。ここから本格的にカーナビとAVの融合が始まり、CDをリッピングできるのはもちろん、テレビチューナーや動画の再生、USBメモリーなどの外部ストレージからのデータ転送に対応したり、通信ユニット内蔵で地図がダウンロードできるなどハイスペック競争が激化していく。

三菱電機は付加価値として音楽再生に活路を見出した。これは今年発表された「DIATONE SOUND.NAVI」

 フルナビがどんどん高性能化、高価格化していくのとは逆に、世の中的には不況やリーマンショックなどで消費が冷え込み、新車自体も売れなくなってきていた。その打撃はカーナビ市場も直撃した。それでも、ドライバーからするとカーナビがないのは不便だ。そこで注目されたのがPND(Portable Navigation Device)である。

 フルナビに比べると性能は圧倒的に劣っていたものの、2万円ちょっとから買える低価格、吸盤で設置するだけなので複数台のクルマで使える汎用性、ナビ以外の機能はオマケというシンプルさが受け入れられて、爆発的にシェアを伸ばし、フルナビの牙城を崩しつつあった。あまりにも高性能化したカーナビに対して、「ナビさえあればいいので安いモノがほしい」というユーザーが増えていたのである

 日本メーカーはフルナビ市場と競合してしまうことを考慮して、最初はPNDの開発には消極的だったものの、2006年にPND版のゴリラ(サンヨー)が発売され、一度はカーナビから撤退したソニーもPND「nav-u」シリーズでカムバック。海外メーカーの格安PNDもどんどん日本市場に投入され、もはやカーナビの主役は完全にPNDになっていた。ディーラーやカー用品店でしか取り扱われず、されに取り付け工賃がかかるフルナビに対し、大手家電量販店でも買えてすぐに使えるPNDは、カジュアル層も取り込んでカーナビ全体の4割にまでシェアを広げていた。

PNDではないが、ノートPCにナビアプリをインストールして、BluetoothでGPSを受信して使うナビも登場した。インクリメントPの「MapFan Navii」

ソニーがカーナビに復帰するきっかけとなった「nav-u」シリーズ

 2010年代に入るとスマートフォンが急激に高性能化し、カーナビアプリも多数リリースされ、今度はPNDがシェアを脅かされることになり、PNDの勢いにストップがかかる。現在はカーナビメーカーがフルナビとPNDの明確な差別化と、観光用途やスマホ連携などの需要開拓にさまざまなアイデアや技術を投入し、切磋琢磨している状況だ。

地図メーカーのマップルがリリースしたiPhoneアプリ「マップルナビS」

カロッツェリアが提案するスマホ+クレードル。このクレードルには加速度センサーやGPSアンテナが搭載されており、スマホの機能をアシストしてくれる。「スマートフォンリンク ナビクレイドル SPX-SC01」

 カーナビが登場して30年。あの頃の未来は当たり前の過去になってしまったが、カーナビの進化はまだまだ止らない。

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