秋の最新ヘッドフォンを中心に紹介し、その実力をテストしていく本特集。前回は比較的手の出しやすい1万円前後の製品を紹介したが、1度いい音に触れてしまうと後戻りできないというヒトの特性により「どうせ買い換えるなら多少高くても感動のある音質を!」という読者も多いことだろう。
2~10万円超のヘッドフォンを試す!
そこで特集第2回目となる今回は、数万円~十数万円にもなる高価格モデルをピックアップ。最近はiPhoneなどのポータブルプレーヤーによる音楽鑑賞でも、よい音にこだわってかなりの価格のモデルを選ぶユーザーも増えてきている。やっぱり価格が高い方が音質では優位になるのか、それとも他に大きな魅力があるのか、そういった点についても考えていきたいところだ。
なお、今回も5つ星評価をしているが単純に前回と同じ、というわけではない。星はコストパフォーマンスを含んでの評価なので前回の製品より星が少ない=高いのに音質が悪いというわけではない。その点をあらかじめ理解しておいていただきたい。
独自のDDM方式を採用でコンパクトさと高音質を両立!
ラディウス「HP-TWF22」
どちらかというと普及価格帯のモデルが多いイメージのラディウス製品の中で、この「W」(ドブルベ)はよりこだわった製品としての位置づけになる。
近々にリリース予定の「HP-TWF22」(発売日、価格とも未定)は、従来モデルと同様に「DDM」(Dual Diaphragm Matrix)方式のドライバー採用。これは、ダイナミック型の中低域、高域用の2つの振動板を同軸状の配列させた構造を持ち、コンパクトなハウジングサイズのまま、よりワイドレンジな再生を可能にしたもの。コンパクトで使いやすいサイズでありながらも、細部のデザインにまでこだわった作りのよさも従来機同様だ。
コンパクトなサイズということもあり、装着感は良好。ハウジングは耳の中にすっぽりと収まり、ズレるようなこともない。
また、コードは被覆にナイロンの網組を採用しており、見た目も上品な上に絡まりにくい。なかなかコードの被覆にまでこだわった製品は多くはないが、特に外出時に使うモデルとしては実用性も含めてうれしい部分だ。
低音の再現が秀逸で安定感の高い再現
端正な再現ながらもパワー感がよく出る
音質評価
- 解像感 :★★★★
- ボーカル:★★★
- 低音 :★★★★
- 音場感 :★★★★
低音の再現がなかなかによくできていて、音域の伸びと量感のバランスが非常に優れている。力強く、揺るぎない低音に支えられ、厚みのある中音と繊細な高域がピラミッドのように構築されている印象だ。
ポップスを聴くと、ベースのリズムは深みのある響きが気持ち良く、ボーカルもクリアで均整のとれた再現になる。
アニソンでは、どっしりと安定感を持ちながらも、スピード感やキレの良さも兼ね備える。女性の透明感のある声は透き通るのような繊細さを持った再現で、見通しのよい爽快さが印象的だ。
クラシックもステージの広さを感じさせる雄大なスケールで、各楽器の配置も整然としていて、なかなかの音場感。ホールの長い残響も丁寧に最後の余韻まで描き出されるなど、深みのある豊かな再現になる。
ジャズの場合、トランペットのほとばしるような勢いはややソフトになるものの、ニュアンスは豊か。ピアノのタッチによる強弱の変化もきめ細やかだ。尖った音や鋭さこそないものの、解像感そのものはしっかりとしており、上質さを感じる再現だ。

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