ヘッドフォンの最新モデルが続々と登場している昨今、先日発売された「iPhone 5」や第5世代の「iPod touch」の入手をきっかけに「ヘッドフォンも一緒に新調しちゃおうかな?」と考えている人も少なくないはず。そこで本特集ではこの秋新登場した(する)ヘッドフォンとポータブルヘッドフォンアンプの最新モデルを中心に、その実力をテストしよう。
第1回目となる今回紹介するのは、1万円前後で買えるおすすめのヘッドフォン。1万円未満のモデル3機種と、実売で1万円半ばほどになるモデル4機種だ。音質のいいヘッドフォンとしては手の届きやすい価格帯であり、コストパフォーマンスに優れたモデルが数多い激戦区でもある。
今回はポップス、ジャズ、クラシック、そしてアニソンをそれぞれ試聴し、曲との相性なども含めて音質を評価。「解像感」「ボーカル」「低音」「音場感」の4つの点について5段階で評価した(星が多いほど良)。
もちろん、装着感などについても紹介する。なお、試聴は最新のiPod touchで行なっている。
低音にこだわったSOLID BASSシリーズの最新モデル
オーディオテクニカ「ATH-CKS99」
オーディオテクニカの「ATH-CKS99」(実売価格1万円前後)は、新たに「デュアルチャンバーメカニズムAR」という機構を採用。これは、ドライバーユニットの背面に2つの空気室(チャンバー)を追加して低音を増強し、さらに2つのAR(アコースティックレジスター、音響抵抗)を直列に配置することで、広がりのある音の再現を狙ったもの。低音再現はもちろんのこと、中高域の解像感を高めるための工夫だ。
こうした機構があることもあり、イヤーピースの形状は独特で、外側に張り出した形状になっている。装着してみるとやや耳の外側に出っ張った感じはあるが、下に伸びるケーブルの接続部分が耳たぶに沿う感じで収まるので、思ったほど出っ張った感じはない。
低音はタイトでかなりの音域までよく伸びる
解像感の高い再現
音質評価
- 解像感 :★★★★
- ボーカル:★★★
- 低音 :★★★
- 音場感 :★★★★
いわゆる重低音タイプだが、意外にも量感たっぷりの低音ではなく、引き締まった低音になっている。ややタイトだがかなり低い音域まで伸び、ジャズのウッドベースも胴鳴り感はほどほどだが、弦の振える様子までわかるほど解像感の高い再現が印象的だ。
トランペットの勢いのよさもかなりのもので、音の立ち上がりが速く、テンションの高い演奏になる。ややクールではあるが、熱気は十分に伝わるスリリングな演奏が味わいたい人にはよく似合うだろう。
クラシックはティンパニの打音がドロドロっとせずにキレ味がよいが、重量感という意味ではやや不足気味。各楽器の音色の再現や音の粒立ちのよさはかなりのもので、いわゆる楽器の配置が見えるような再現。ポップスは解像感が高いせいか鮮明な印象になり、各楽器の音を丁寧に再現する。ここでもドラムのアタックが強めで、全体にキビキビとした鳴り方。ボーカルはやや細身になるが、発音もしっかりと聴ける再現だ。
残念なのはアニソン。高域の張り出しのせいかややシャカシャカした感じで、ボーカルが引っ込んだ印象になる。ストレートな音だが、ソースの粗が目立ちやすい印象だ。
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