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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第7回

米国のiPhone 5をドコモで利用して見えた 料金と契約の違い

2012年11月19日 19時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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日本のiPhone 5の料金は実は高くはないが
契約の柔軟性には欠ける

 さて、筆者の場合、携帯電話会社自身がiPhoneを販売していないドコモでiPhone 5を利用するというイレギュラーなパターンですが、プランは非常にシンプルで、780円の「Xiにねん」という基本プランとネット接続サービスの「mopera U」、そしてパケット定額のプランを選ぶだけです。

 端末購入をともっていないため、筆者のように海外を行き来する場合、月々サポート(端末購入割引)を気にせず、使う月だけパケット定額を付けるといった形で節約することが可能です。端末を買うと、パケット定額を外すと、月々サポートが解除されてしまい、実質的な料金が高くなってしまうことが考えられます。

 パケット定額には毎月7GB以降、速度制限がかかる「Xiパケ・ホーダイ フラット」に加えて、月額2100円からスタートする「Xiパケ・ホーダイ ダブル」、通信速度の制限が3GB以上となる代わりに、「Xiパケ・ホーダイ フラット」よりも約1000円安くなる「Xiパケ・ホーダイ ライト」の3種類があります。滞在が1週間などの短期の場合、フラットではなくライトでも十分なので、筆者の使い方にとっては魅力的なオプションが増えました。

 ちなみに、SIMロックフリーやVerizonで購入したiPhoneでは、特にテザリングに制限はかけられていないため、上のパケット定額プランを利用してパソコンやiPad miniをネットにつなぐことが可能です。

 こうしてみると、手持ちの端末を日本に持ってきて、LTE接続のプランを用意しようとすると、最低で約6500円+通話した分の課金で利用する事ができるようになります。この金額は、KDDIやソフトバンクでiPhone 5を利用する金額と大きく変わらないのではないでしょうか。

 米ドルに換算すると約82ドルほどの料金になり、前回ご紹介した筆者夫婦がiPhoneで契約しているVerizonのShare Everythingの料金と比較すると、1人あたりの料金は同じということになります。

 日本では7GBで速度制限がかかるといわれていますが、Share Everythingでは4GBで月70ドルのデータプランを共有しているため、毎月のデータ量についても日本の方が条件が有利です。決して日本のiPhoneの料金が高いわけではありません。

 しかし、ここにiPad miniもLTEで使いたい!と思うと話は変わってきます。Share Everythingでは月額10ドルでタブレットを契約に「参加」させることができ、4GBのデータプランをiPhone 2台に加えてiPad miniでも共有するようになります。日本の場合はタブレット向けのデータプランの契約を4000円~6000円前後で新たに契約することになり、こちらにも2年縛りがかかるとなると、価格と柔軟性の問題で急に不利になります。

端末数ではなく通信量で契約を選べる時代に移行した米国
日本でもそうなることを期待したい

 1人、あるいは家族で複数のモバイルデバイスを利用する時代は既に見えており、音声通話とSMS主体で動いてきた米国の携帯電話市場は、データ主体に移行しつつあります。そのとき、これまで通話時間で選んできたプランを、まずデータプランの容量を選ぶ、という概念に完全に移行させたのが2012年の大きな変化だったと思います。

 しかし日本では依然として、データプランは定額一辺倒で、フィーチャーフォン時代の選び方から大きく変わっておらず、選択肢の広がりやわかりやすさに欠けています。そして、このままでは複数のデバイスを使い分けるスタイルを実現するためには、さらにお金がかかり、モバイルのカルチャーやビジネスの普及や発展に影響が出たり、世界をリードする環境を整えにくくなるのではないかと懸念しています。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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