Verizon版iPhone 5はそもそもSIMロックフリー
筆者が契約しているiPhone 5は、CDMA2000とLTEを提供しているVerizon Wirelessの契約です。一応、CDMA2000によるローミングにも対応しており、ドコモのSIMカードを差し込む前の段階では、「Roaming」という表示も出てきていました。
しかしデータ通信のローミングは事前に手続きをしても250MBで20ドル、手続きをしなければ1MBで20ドル。ちょっとデータローミングを進んで使おうという金額ではありません。
CDMA2000を採用している携帯電話会社は世界に少ないため、Verizonでは「ワールドフォン」と呼ぶ、CDMAとGSM/W-CDMAに対応したデバイス、つまり以前使っていたiPhone 4Sは米国外でSIMロックフリーにしてくれるサービスがありました。ところがiPhone 5は始めからGSMロックフリーの状態で提供され、日本だけでなく米国でもAT&TやT-Mobileなど、他社のSIMカードを認識してくれます。そのためドコモのSIMカードもすんなりと認識させることが出来ました。
たとえばVerizonと同じCDMA2000とLTEを提供している日本のKDDIも、利便性を考え、国外についてだけでもSIMロックフリーにすると海外での利用も進むのではないか、と思います。
ドコモのnanoSIMとiPhone 5で
Xi接続させるまで
ひとまず日本で3G通信ができるようになったVerizon契約のiPhone 5。下り3.9Mbps前後、上り0.8Mbps前後のスピードが出るFOMAのデータ通信はハッキリ言って“悪くない”ものでしたが、せっかくハードウエアがLTEに対応しているのであれば、日本でもLTE接続をしたいもの。
そこで、インターネット上で紹介されているSIMロックフリー版のiPhone 5をドコモLTE Xiで利用する方法を試してみました。参考にしたサイトは「MACお宝鑑定団」(http://www.macotakara.jp/blog/iphone/entry-18265.html)と「^H」(http://blog.backspace.jp/2012/11/ntt-docomo-lte-xi-on-ios-601.html)です。
基本的な手順は以下の通り。
・iPhone 5をiTunesを使ってバックアップ作成
・SIMカードスロットを引き出して「SIMなし」にしておく
・iTunesで「復元」ボタンを押し、iOS 6.0.1で再起動
・ドコモ(Xi契約)のSIMカードを挿入、iTunesもしくはiPhoneでアクティベート
・ここでiTunesで、WindowsではShift+「アップデートを確認」ボタン、Macではoption+「アップデートを確認」ボタンを押し、3番目でダウンロードされているiOS 6.0.1のリストア用「.ipswファイル」を選択し、上書きアップデート
こうして、iPhone 5が再起動すると、アンテナ表示に「NTT DOCOMO LTE」という表示が出てくるようになり、Xiの電波をつかむことんだと思われます。
なお、上記の方法ではSIMもカットしておらず、特別な方法を行っているわけではありませんし、筆者は成功しましたが、くれぐれも自己責任でお試し下さい。
ドコモのXiは、米国より遅い?
こうしてドコモSIMでもiPhone 5のポテンシャルであるLTE接続を引き出すことができるようになりました。通話の音声もキレイな日本のケータイ。しかしLTEに期待するほどには、都内でのXi+iPhone 5については、芳しい結果が得られるとは言えません。
ここにSpeedtest.netアプリの記録アーカイブを用意しました。一番下に表示されている下り30.50Mbps/上り7.59Mbpsの記録は、カリフォルニア州バークレーの自宅でのVerizon 4G LTEによる結果。下から2つ目は、DSL回線を利用する自宅のWi-Fiです。我が家では、LTE回線がDSL回線よりも5倍以上速いという結果になっています。
上から4つの結果は日本でドコモ回線でiPhone 5を利用した結果です。東京都渋谷区内の恵比寿駅、広尾駅周辺で計測しています。
上から3つがXiでの通信の結果。1度は9.95Mbpsという結果が得られましたが、10Mbps近くを記録できたのはこの1回だけでした。そして上から4つ目の結果はFOMA回線での結果で、pingの数字こそ大きく違いますが、通信速度だけを見ると、Xiがアドバンテージになっているとはなかなか指摘しにくい状態になっていました。
また都内で使っていると、頻繁にLTEの表示が外れ、3Gの表示に切り替わることがよくありました。3Gの場合、スピード以上に通信をし始めるまで待たされる時間が非常に長く、Foursquareなどのアプリによっては「インターネットに接続されていません」というエラーメッセージが頻発する状況を体験しています。これが、いわゆる「詰まる」という状況でしょうか。
ドコモでLTEを利用した感想としては、LTEの電波以上に、LTEや3G共通のバックボーンの問題の方が重大なのではないか、ということです。
この連載の記事
-
第264回
スマホ
ライドシェアにシェアバイク、これからの都市交通に必要な真の乗り換え案内アプリとは? -
第263回
スマホ
Amazonが買収したスーパーマーケットで生じた変化 -
第262回
スマホ
日産「はたらくクルマ」でみたテクノロジーでの働き方改革 -
第261回
スマホ
WWDC19で感じたのは、体験をもとにアップルがサービスの整理整頓を進めているということ -
第260回
スマホ
LoTで、いかにして世界から探し物をゼロにできるか?:Tile CEOインタビュー -
第259回
スマホ
ファーウェイ問題で感じたテクノロジーと国家対立の憂鬱 -
第258回
スマホ
スマホでの注文が米国でのスタバの役割を変えた -
第257回
スマホ
10連休に試したい、ゆるやかなデジタルデトックス -
第256回
スマホ
人によって反応が異なるドコモの新料金プラン -
第255回
スマホ
「平成」と「令和」 新元号発表の瞬間の違い -
第254回
スマホ
Adobe Summitで語られたAdobe自身のビジネスや開発体制の変化 - この連載の一覧へ