そのつもりでキーボードを見ると、キートップの形状はNECのものではない。レノボがIdeaPadや、近年のThinkPadで採用している形状に近い。LeVie YはIdeaPad Yogaの中でも、Windows RT搭載の11インチモデルの日本版、という色合いの強い製品といえる。そういえば、ACアダプターも最近のレノボ的というか、LaVie Z付属のものと同形状だ。この辺は両社の連携の賜物なのだろう。
日本版的な位置付け、という意味では、キー配列がきちんと日本語配列になっている点にも注目しておきたい。Windows RT搭載製品は海外モデルが多く、日本語キーボードに対応していないものが中心だ。また、Windows RTと直接比較すべき対象であるAndroidタブレットやiPadは、Bluetoothキーボードなどを併用した場合でも、英語配列のまま使うことになるのがほとんどだ。そのため、英語配列が苦手な人には辛かった。だが、「LaVie」として売られる以上、その辺は「日本向け」をきちんと配慮しているためだろう。
なお、同一のヒンジ構造を採用した製品としては、前回採り上げた「Let'snote AX2」がある。両者を使ったイメージで言うなら、変形のしやすさ・軽さでは、若干だがAX2の方に軍配が上がるか、と感じた。完全にひっくり返してしまう時の畳みやすさが、LaVie Yの方が少し劣るかな……という評価だ。もちろん、ここには各製品の個体差もあるだろうし、逆に言えば個体差でひっくり返るかもしれない程度の差ではある。
インターフェースも実に「普通」だ。USBは2.0だが、HDMI出力とSDメモリーカードスロットがあって、データ連携などにも使える。アナログRGB出力はなく、プレゼン用途への備えという意味では少々心許ない部分があるが、あまりに普通に「モバイルノートになっている」ので、少々拍子抜けする感もあった。
使い勝手は「Windowsそのもの」
アプリの必要性で価値が決まる
「拍子抜け」と書いたのには、もちろん理由がある。冒頭で述べたように、LaVie Yは「x86アーキテクチャー+Windows 8」で動いているわけではなく、「ARM系CPU(Tegra 3を採用)+Windows RT」で動作している。画面写真を見ていただければおわかりのように、Windows RTという「Windows 8ではないもの」でありながらも、見た目はまるで変わらない。システムのプロパティを見ると、OS名がWindow RTになっていて、CPUもTegra 3となっていることくらいでしか、RTであることを示すものはない。
実際使ってもそうなのだ。Windows RTには「Microsoft Office 2013 Preview」がバンドルされている。WordやExcel、PowerPointを使う限りでは、一般的なPCとの差はかなり少なく感じる。動作の遅さは感じられないし、機能もかなり近い。WordやExcelにはマクロ機能がないようだが、ファイル形式は同じだし、レイアウトなどが崩れることもない。日本語入力プログラムも、「IME 2013」である。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ