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HTCとAppleが特許訴訟にピリオド クロスライセンスで合意

2012年11月12日 19時30分更新

文● ASCII.jp編集部

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 AppleとHTCが2年以上にわたっての法廷での対立に終止符を打った。両社は11月11日、10年間の特許ライセンス合意を結んだと発表。今後はお互いの特許利用を認めることになる。だが合意内容はAppleに有利な内容となったようで、HTCは自社のAndroid製品の売上げに対し1台当たり5~20ドルをAppleに支払うと言われている。HTCはMicrosoftともAndroid端末で特許ライセンスを結んでおり、スマートフォンの売上げに対しAppleとMicrosoftの2社に特許ライセンス料を支払うことになりそうだ。

 11日付で共同で発表したリリースによると、両社は10年間の特許ライセンス合意を締結、現在そして将来の特許についてお互いの利用を認めることとなった。これによりHTCは自社AndroidスマートフォンでAppleの特許技術を利用することができる。2社はこの合意の経済的な詳細を明かしていないが、HTCは1台あたり5~20ドルをAppleに払うと情報筋が述べていると、主要メディアでは報じている。

 AppleがHTCを提訴したのは2010年3月のことだ。Appleはここで米国際貿易委員会(ITC)に対し、10件の特許を侵害していると主張していた。これがきっかけとなり、両者はアメリカ、イギリスなど欧州で複数の特許訴訟を起こした。

大きく悪化しているHTCの業績
今後は製品開発に集中できる?

 2011年にはITCがAppleの主張を認め、一時的にHTCの製品がアメリカで販売できなくなるという事態も生じた。HTCはこれまで、「利用できる全ての手段を使って自社を弁護する」として敵対の態度を見せており、2011年9月にはAppleに勝訴したS3 Graphicsを買収している。だが訴訟がはじまった2010年と比べると、HTCの業績は伸び悩んでおり、第3四半期の売上高は前年同期比46%減の702億台湾ドル(約1930億円)と報告している。

 HTCのCEO、Peter Chou氏は「Appleとの係争を終結できることをうれしく思う。これにより、訴訟ではなくイノベーションにフォーカスできる」と述べている。AppleのCEO、Tim Cook氏は「今後も製品イノベーションにフォーカスする」とコメントしている。

 AppleはHTC以外にも主要Androidベンダーと特許係争関係にあり、これを受けて、Samsung、Motorola Mobility(Google)などもAppleと和解に至るのかが注目される。Samsungは8月末、米カリフォルニア州連邦地方裁判所で敗訴し、10億ドル以上の損害賠償金支払いを命じられている。

 Androidの開発元であるGoogleはメーカーからライセンス料を徴収していない。HTCなどのベンダーがAndroidスマートフォンの売上げに対してMicrosoftやAppleにライセンス料を支払うという状態が今後、Androidスマートフォンの価格や業績、さらにはOS戦略などの面にどのように反映されるのかにも注目だ。

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