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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第177回

Haswell世代では低価格帯のデスクトップCPUが縮小する?

2012年11月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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2011~2013年のインテルのデスクトップ向けCPUロードマップ

 この代償は、150Wに増えたTDPである。GPUこそ入っていないもの、CPUコアが2つ多い6コアでメモリーチャネルは倍。内部のリンクバスは全二重構成で3次キャッシュの容量も大きいから、当然ながら消費電力はSandy Bridgeとは比較にならないほど増える。ベースになった「SandyBridge-EP」ベースのXeonでも、150WのTDPを持つ製品は「Xeon E5-2687W」のみ。E5-2687Wは動作周波数が3.1GHz(ターボ・ブースト時最大3.8GHz)と控えめだが、その代わり8コア16スレッド動作のCPUだ。これと同等のTDPになってしまったのは致し方ないところか。

 製品構成からすれば、TDPうんぬんに文句を言うのはややナンセンスだが、利用する消費者層をさらに限ってしまう。普通とは別の意味で尖がった製品になりそうだ。ちなみに、価格は3960Xと同じくバルクで999ドル(約7万8900円)、リテールボックスで1059ドル(約8万3700円)という値段になると思われる。日本での発売価格は、昨今のインテルの換算レートを考慮するとおそらく、9万円を切るあたりに落ち着きそうだ。

 これ以外には、おそらく2012年末あたりに「Core i3-3210」が追加されるようだ。年内の新製品はこのあたりで終わりで、以降は2013年の話となる。

2013年はIvy BridgeがPentium/Celeronにも

 2013年のデスクトップ向け製品ラインナップは、まずは「Pentium」向けに「G2010/G2020/G2020T/G2130」という製品が追加される。これはSadny Bridgeベースの「Pentium G6xx」シリーズを完全に置き換えるもので、2.5~3.2GHzに向けて製品を展開する予定だ。35W品に関しては、最低でも2.5GHzとやや動作周波数が上がるが、これはIvy Bridgeの低消費電力のおかげで、ここまで上げても35W枠で収まるということでもある。

 これと同じタイミングで、やっとCeleron向けにもIvy Bridgeが登場する。ラインナップとしては、まずは「Celeron G1610/G1610T/G1620」の3製品。Pentiumとの差別化ポイントは3次キャッシュサイズである。Sandy Bridge世代では一部に1コア/3次キャッシュ1MBの製品も混在していたのが、ついにこの世代では、すべての製品が2コア/2MBに統一された。いくら低価格向けといっても、Atomですらデュアルコアが当たり前になっているから、そろそろこれが最低ラインになってきたということであろう。

 PentiumとCeleronについては、これに続く製品があるかどうか、今のところは不明である。必要ならば製品の追加は簡単なので(スペックを決めて検証するだけ)、このあたりは市場の要望を見ながら随時、ということになるだろう。

Haswell登場は2013年4月?

 メインストリームはどうなるだろう。待望される次世代の「Haswell」だが、今のスケジュールだと2013年第2四半期の「比較的早い時期」となっており、普通に考えれば4月頃だろうと予想される。

 このHaswellでパッケージが「LGA1150」に変わるのは、もう確定したもようだ。早ければ2013年1月の見本市「International CES 2013」で、遅くとも3月の「CeBIT 2013」には、LGA1150対応マザーボードが発表されるものと予想される。もっとも、どの位の数が出てくるかというのは、やや微妙なところである。

 Haswell世代では、当初出てくるのはIvy Bridge発表時と同等の、「Core i7-4700」シリーズと「Core i5-4400」シリーズのみで始まるという。「Core i5-4500」シリーズが出るという話もあるのだが、真偽は不明だ。その後は次第に、より下位の製品が登場し、Core i3を経てPentiumとCeleronが展開されていくようだ。

 製品投入の流れはIvy Bridgeと似ているが、展開の様相は異なってくるようだ。元々インテルとしては、Ivy Bridge世代をもっと早くに立ち上げて、2012年中にメインストリームを22nmプロセスに移行させたいともくろんでいた。Ivy Bridgeの出荷以前には、少なくとも2012年末の時点で、出荷数量の70%程度を22nmプロセスの製品に切り替えたいとしていたほどだ。

 ところが22nmプロセスの立ち上がりが予想外に悪く、そのためトップエンドのCore i7/i5はともかく、メインストリームやバリュー向けのCore i3/Pentiumに関しては、2012年9月まで引っ張ってしまう。この結果として、2012年末でもまだ半分のCPUが32nmプロセスで製造されており、結局これが完全に切り替わるのは、2013年までもつれることになった。

 逆に言えば、Haswellに関してプロセス側の懸念は、ほとんど解消されているとも言える。インテルは2012年内にHaswellの量産を開始するとしている。最近では生産そのものに大体1四半期かかるから、最初のHaswellの量産製品が完成して、出荷可能になるのは2012年3月あたりになる。Haswellの設計そのものに何か問題が出たりしないかぎり、4月のリリースはそれほど難しいことではないだろう。これが順調に立ち上がれば、続けてCore i3やPentium/Celeronを供給するのも難しくはない。

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