11月8日、9日に開催されたNECのイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」の展示会場で、大きくフィーチャーされたのは「ビッグデータ」だ。バックエンドの分析エンジンとともに、NECが強みを持つと思われるのは、情報収集とフィードバックを担う端末だ。
画像認識+クラウドでビッグデータと連携
ビッグデータというと、通常はデータを蓄積したり、分析したりといったバックエンドの処理にフォーカスされることが多い。一方で、情報を収集する端末や方法に関しては、PCとスマートフォンを代表とする「スマートデバイス」とひとくくりにされる。しかし、今回の「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」の展示会場では、こうしたビッグデータのユーザーインターフェイスやセンサーともいえるデバイス側での工夫が見られた。
スマホで撮影した画像を認識し、広告配信や情報収集に活かすのが、画像認識サービス「GAZIRU(ガジル)」である。GAZIRUの動作はシンプルで、専用スマホアプリで撮影した画像をクラウドに送り、あらかじめ画像が登録されたデータベースと照合。結果から情報を戻したり、広告やコマースサイトのURLにリダイレクトというものだ。
会場では、カタログに載っている商品を撮影すると、画像が認識され、自動的に商品を購入できるコマースサイトにリダイレクトされるというデモのほか、プロジェクターの一部分を撮影するとそこに関する電子マニュアルが表示されたり、花を撮影すると、花の名前の候補がWikipediaで表示されるといったデモも行なわれていた。「QRコード」と「AR(Augmented Reality)」を組み合わせたような仕組みだが、あらかじめ商品にコードのようなものを埋め込んでおく必要がなく、認識精度も高い。ユーザーは商品名を知らなくても、文字を入力しないでも検索や情報収集が可能になるわけだ。動画でもOKで、CMの武井咲さんを識別して、NECのPCのサイトにジャンプしたのには、ちょっと驚いた。
ここまでであればGAZIRUもエンドユーザーの利便性を向上させるツールに過ぎないが、スマートフォンを「ビッグデータの眼」として利用し、マーケティングやトレンドの分析システムと連携すれば、さまざまなサービスが実現できるだろう。先日、NECから発表された「分析クラウドサービス」も、カメラの映像を取り込み、リアルタイムに売り上げ分析や不審者の検出を行なうというもの。今後、スマホやタブレットをビッグデータの端末として考えると、アプリケーションの作り方も変わってくるはずだ。
ビッグデータのフィードバックをロボットで
情報を収集するだけなく、ビッグデータのフィードバックを受ける端末も、PCやスマートフォン以外、多種多様なデバイスが見込まれるはずだ。デジタルサイネージや家電、時計などのガジェット、唐突に思えるかも知れないが、ロボットもその選択肢に入ってもよいのかもしれない。
そんなことを考えたのは、NTTドコモの「しゃべってロボ」デモを見たからだ。しゃべってロボは、NECのコミュニケーションロボット「PaPeRo(パペロ)」を使い、クラウド上の情報をユーザーに教えてくれるというもの。スマートフォンからスケジュールを登録しておくと、しゃべってロボが予定を教えてくれる。単にクラウドからデータを引っ張って表示してくれるだけではなく、ユーザーにあわせてフィードバックしてくれるところがインテリジェントだ。参考出展という位置づけだが、リテラシのあまり高くないユーザーにとって、こうした端末は今後検討されてもよいところだ。先ほどのスマートフォンのカメラが「ビッグデータの眼」だとしたら、こちらは「ビッグデータの口」になるだろうか。
冒頭に述べたとおり、ビッグデータのソリューションはインフラやデータ解析がメインだが、こうした端末まで含めたシステムと考えると、より利用範囲は拡がる。その点、汎用PCだけではなく、センサーや専用ハードウェアを開発できるNECのような国内メーカーは、実は面白い立ち位置を確保できるのではないかと思う。
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