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増加するスマホ窃盗、米国で窃盗端末のデータベース実装へ

2012年11月02日 18時15分更新

文● 末岡洋子

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 スマートフォンが人気なのは消費者だけではない、スリにとっても格好のターゲットとなっている。アメリカでは主要都市で軒並みスマートフォンの窃盗事件が増加しているといわれている。これを受け、アメリカを中心とした無線業界団体のCTIA(セルラー通信・インターネット協会)が対策に乗り出した。窃盗された端末のデータベースを作成し、不正な再販や利用を防ぐという。

 CTIAは4月、Verizon Wireless、AT&T、Sprint Nextel、T-Mobile USAの主要4キャリア、端末メーカー、連邦通信委員会(FCC)、警察などと協力し、スマートフォンの窃盗と顧客のデータ保護対策を目的とした自主的な対策をとることを発表していた。

 背景にはスマートフォンの窃盗件数の増加がある。スマートフォンの窃盗は世界的に増えているが、アメリカでは10月中旬にAP通信が報じたところによると、サンフランシスコではスリや強盗事件の半数以上がスマートフォンを狙ったものなのだという。他の都市でもスマートフォンを狙った事件は増えていると報告している。

 盗んだスマートフォンは中古端末として取引されることが多い。そのため、CTIAのイニシアティブでは端末側が持つ固有の番号であるIMEI(国際移動体装置式別番号)を利用する。各社は窃盗報告を受けた端末のIMEI番号のデータベースを作成し、最終的にはこれを他社と共有して該当する端末のアクティベーションを防止するというものだ。こうすればSIMを差し替えても端末の識別が可能となり、再版や不正利用を遮断できると説明している。

 CTIAの計画では、10月までにデータベースを実装することになっており、GSM系キャリアであるAT&TとT-Mobile USAはGSMベースのIMEIデータベースを、CDMA系キャリアのVerizonとSprintもCDMAベースのIMEIデータベースを提供することになっていた。将来的に相互接続して他社も利用できるようにする。10月31日にCTIAは取り組みをアップデートし、主要キャリアに加え、Cellcomなどのキャリアもデータベース実装に参加すると発表した。これにより、全米の携帯電話ユーザーの90%をカバーできるという。まずは各社が自社のデータベースを実装し、2013年11月には4社がそれぞれのデータベースを組み合わせる予定だ。

 CTIAは同時に、まずはコンシューマーが自分の端末を保護することが重要だと強調し、パスワードやPINを利用したロック、遠隔からのデータ消去などの機能を利用して、窃盗スマートフォンの流通を防止できると述べている。CTIAではウェブサイトで窃盗防止と窃盗後の対策についてガイドラインを公開し、コンシューマーに注意を喚起している。


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