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使いやすさで他を圧倒!

手のひらタブレットの王、「iPad mini」の魅力を徹底検証

2012年11月01日 21時00分更新

文● 林信行

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細部まで本当によく練られたデバイス

 このiPad miniの「小さい!」「軽い!」「便利!」の裏には、実は驚くほど膨大なストーリーや熟考の後がある。7.9インチという画面サイズも練りに練られて行き着いた結論で、ただ7インチが売れ筋だからというわけではない。画面の左右のフレームが小さい理由はなんとしても「片手サイズ」を維持するためだ。

 また、フレームが小さくなると、本体を手で掴んでいるだけのつもりで画面を触ってしまうこともあるので、それで誤操作をひきおこさないように、どんな意図で画面に触れた指かを認識する技術まで搭載するなど、片手サイズの板の中に信じられないほどいろいろな工夫が織り込まれている。

 だが、それをいちいち説明してしまうと、「俺たちはこんなに頑張っているんだ」の浪花節になってしまい、粋ではないのであえて多くは唱わないのがアップルのやり方。なので、(実は他の記事では書いてしまったが)ここではあえて触れないようにしよう。

 その代わり、これまであまり触れられていない特徴をいくつか。

 まずひとつは、iPad miniの底面だ。従来のiPadシリーズのスピーカーは片側に寄っていて、見るからに「モノラルスピーカー」だった。

 これに対して、iPad miniのスピーカーはLightning端子の左右にある。YouTube上のオーディオテスト用の動画を、片方のスピーカーを手でふさぎながら確認してみたところ、ちゃんとステレオスピーカーになっていた。

iPad miniが、二周りほど大きい標準サイズのiPadに比べて秀でているのがスピーカー部分。なんとLightning端子の左右にひとつずつグリルがあり、ステレオスピーカーになっていた!

 薄いiPad miniに入るほど小さなスピーカーであるうえ、それほど左右のセパレートが良いわけではないが、なんだかちょっとうれしいユーザーは私だけではないはずだ(なお、実際には標準サイズのiPadも、本体右側のグリルの中には2個のスピーカーが入っているようだ。よく聞いてみると、一応、ステレオで音を出しているっぽい印象があるが、グリルがひとつで本体の片側にあるため、ほとんどステレオとしては機能していない)。

アップルのこだわりがうかがえる
「iPad mini Smart Cover」

 iPadといえば必ずセットでほしいのが、磁石でピタっと本体にくっつきキーボード入力時の「Smart Cover」だ。パタパタパタと角を節目に合わせるようにして折ると頑丈な三角中の柱ができて、キーボードスタンドにも映像視聴用スタンドにもなってくれるスグレモノ。

 この優れた標準アクセサリーは当然、「iPad mini Smart Cover」としてiPad miniにも用意される。ただminiの本体サイズにあわせて、標準のものを縮小だけすれば良さそうなものだが、そこでもじっくり考えて「本当にそれで良いのか?」と考えるのがアップルだ。

 画面サイズが変われば、キーボードにほしい傾斜や映画を見る時にほしい画面の傾きの角度も変わってくる。そうした最適化の試行錯誤の結果か、iPad mini Smart CoverはこれまでのiPadのような3つ折りではなく、ふたつ折りになった。1折り足りなくて三角形の安定感が悪そうな部分は磁力の強化や追加マグネットで補強しているようだ。

従来のSmart Coverをそのまま小さくするのではなく、適切な角度を作りだすためにふたつ折り構造に変更された

 ついでに本体との吸着部分は従来のような金属のシャーシではなく、カバー部分と同じラバー素材になった。この吸着力がまたかなり強く、本体が軽くなったこともあるのだろうが、くっつけたまま軽く本体を振っても大丈夫になっている(危険なので真似はしないように)。

マグネットの吸着力は、さらにアップしている印象だ(危険なので真似はしないように)

 このiPad mini Smart Coverを閉じると、マグネットセンサーで自動的に本体の電源のON/OFF(正確にはスリープ機能のONと解除)を切り替えられる。従来の標準サイズのiPadでは、カバーの固定されていない端を画面の端に付けるだけで、スリープさせられたが、iPad miniでは2ヵ所のマグネットを使ってスリープと解除を行なう機構に変わっている。

 それがどういう意味があるのかは、今のところまだ謎だが、あえてコストをかけてこうした変更を加えているあたりにアップルの熟考の後が読み取れる。私の予想としては、カバーを本体の裏側に回した時にスリープしてしまわないための工夫かなとも思っている。Nexus 7用にサードパーティー製のマグネット入りカバーを買って、カバーを本体の裏側に回して使おうとしたところ、本体が勝手にスリープ状態に入ってしまうものがあった。これに対して、iPad miniではカバーを本体裏側に回してもスリープに落ちなかったからだ。

細かなディテールの話になってしまうが、これまでのiPadは、SmartCoverの右端をくっつけるだけでスリープしたが、iPad miniは画面中央ちょい右寄りのあたりにもうひとつマグネットセンサーがあり、ふたつ折り目も閉じないとスリープしない。これがどういう意図でこうなったのかは、現在調査中

 ただ、これらはどれもささいなディテールにすぎない。iPad miniの本当の魅力を知るには、実際の製品をその目で実際に見て、触ってもらうのが一番だ。

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