タブレット形態にして使うことを考えてか、AX2はこれまでのLet'snote以上に、フラットで起伏がない。背面からは廃熱・吸気穴や各種表記が少なくなっており、つるりとした外観になった。天板側の強度を保持する「ボンネット構造」は健在だが、ボンネットの高さを抑えて、より平らな感じにしている。
そうしたデザイン上の特徴もあってか、閉じた時のたたずまいは今まで以上にスタイリッシュ。流行りのクサビ型ではないが、シンプルな板型形状で、好感度が高い。特に、今回試用したマイレッツ倶楽部オリジナルモデルは、全体をブラックにしている関係上、モノリスを思わせる精悍さがある。
この構造は、すぐに変形させられるのが利点でありつつも、タブレット形状にした際に、キーボードが外に露出してしまうのが難点ではある。キーボード面をさわりながら本体を握ることになるので、慣れるまで少々不安がつきまとう。実際には、タブレット化した時にはキーボードはオフになるし、キーがグニャグニャと動くわけでもないので、さほど気にするべきものでもない。おそらくこれは、「クラムシェルでの利用がメインであり、タブレット構造はサブである」という、AX2開発チームの分析による選択だろう。
キーボードの動作については、タッチパッドのボタンの間にある「ホールドスイッチ」で明示的にオフにすることもできる。だが数日使ってみた範囲では、自動にしておけばスイッチで切り替える必然性は感じなかった。
タッチパッドはWindows 8特化のために変更へ
動作は快適そのもの
ボディー構造と同様に、大きく変わっているのがタッチパッドだ。これまでLet'snoteでは円形のものを採用してきたが、AX2では長方形となり、パームレスト部と高さが同じものに変わった。その結果、「指を縁で回転させてスクロール」という使い方はできなくなった。だが、Windows 8のUIでの操作を考えると、こちらの方がプラスである。タッチパッドを変えたのも「Windows 8世代向け」というわけだ。
他方で変わっていないこともある。キーボードの形状だ。いわゆるアイソレーション型の採用は、Let'snoteとしては初めてだが、キー形状は指が頻繁に動く斜め方向を削った、「リーフ型」と呼ばれるもの。キートップが若干小さめで、最近増えた13型クラスのものに比べると、特にEnterキーやEscキーのサイズに不満も感じるが、ボディーサイズを思えばしょうがない。「ちょっと変わったが伝統的なLet'snoteのキーボード」を踏襲している、と言える。
内部的には、伝統から変わった点もある。これまでLet'snoteは、パワーを優先してCPUに、通常電圧版もしくは低電圧版を使ってきた。だがAX2は同社初のUltrabookであり、CPUには超低電圧版(ULV)が使われている。今回試用したモデルの場合は、Core i7-3667U(2GHz)だ。もちろん、トップスピードでは通常電圧版に劣るが、ストレージがSSDになった現在、一般的な用途ではこれで不満が出ることはまずないだろう。
今回試用したのは試作機であったため、Windowsエクスペリエンスインデックスが計測できなかったが、十分な値であろうことは容易に予想できる。Windows 8になって、起動/スリープからの復帰/各種インターフェースの利用にともなうタイムラグなど、細かな部分が高速化しているため、同クラスのWindows 7マシンより快適になっている、と考えていい。
ULVになった成果か、全体的な放熱の小ささにもプラスだ。フルパワーで動作しても、本体中央奥にある放熱口の周囲以外は、それほど熱を持たない。タブレットとして持つ時に、ここは長辺になる部分。Windows 8では横長に持つのが基本だから、放熱口を手で持ったり、そこが体に当たったりするシーンは容易に避けられる。タブレットモードでも発熱傾向は同様で、特に問題を感じなかった。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ