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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第103回

変形だけじゃない!パナソニックの意欲作 Let'snote AX2

2012年11月01日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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本体左側。左から電源コネクター、Gigabit Ethernet、アナログRGB出力、SDカードスロット・マイク・ヘッドホン・無線スイッチ

本体右側。左からUSB 3.0(充電対応)、USB 3.0、HDMI出力、セキュリティーロック

 タブレット形態にして使うことを考えてか、AX2はこれまでのLet'snote以上に、フラットで起伏がない。背面からは廃熱・吸気穴や各種表記が少なくなっており、つるりとした外観になった。天板側の強度を保持する「ボンネット構造」は健在だが、ボンネットの高さを抑えて、より平らな感じにしている。

 そうしたデザイン上の特徴もあってか、閉じた時のたたずまいは今まで以上にスタイリッシュ。流行りのクサビ型ではないが、シンプルな板型形状で、好感度が高い。特に、今回試用したマイレッツ倶楽部オリジナルモデルは、全体をブラックにしている関係上、モノリスを思わせる精悍さがある。

天板はボンネット構造。ただし薄さを実現するため、内部にリブを設け、ボンネット構造でありつつも他機種と大きく違わない厚みにして、高い剛性を実現している

本体底面。バッテリーが目立つ以外はシンプル。タブレット形状にすることもあり、この面はできるだけシンプルな形状にする必要があったのだろう

 この構造は、すぐに変形させられるのが利点でありつつも、タブレット形状にした際に、キーボードが外に露出してしまうのが難点ではある。キーボード面をさわりながら本体を握ることになるので、慣れるまで少々不安がつきまとう。実際には、タブレット化した時にはキーボードはオフになるし、キーがグニャグニャと動くわけでもないので、さほど気にするべきものでもない。おそらくこれは、「クラムシェルでの利用がメインであり、タブレット構造はサブである」という、AX2開発チームの分析による選択だろう。

 キーボードの動作については、タッチパッドのボタンの間にある「ホールドスイッチ」で明示的にオフにすることもできる。だが数日使ってみた範囲では、自動にしておけばスイッチで切り替える必然性は感じなかった。

タッチパッドはWindows 8特化のために変更へ
動作は快適そのもの

 ボディー構造と同様に、大きく変わっているのがタッチパッドだ。これまでLet'snoteでは円形のものを採用してきたが、AX2では長方形となり、パームレスト部と高さが同じものに変わった。その結果、「指を縁で回転させてスクロール」という使い方はできなくなった。だが、Windows 8のUIでの操作を考えると、こちらの方がプラスである。タッチパッドを変えたのも「Windows 8世代向け」というわけだ。

キーボードレイアウトはLet'snote伝統のもの。アイソレーション型(パナソニックはアイランド型と呼んでいる)になったが、キー形状はLet'snote Jシリーズなどに近い。タッチパッドは「四角」へリニューアル

 他方で変わっていないこともある。キーボードの形状だ。いわゆるアイソレーション型の採用は、Let'snoteとしては初めてだが、キー形状は指が頻繁に動く斜め方向を削った、「リーフ型」と呼ばれるもの。キートップが若干小さめで、最近増えた13型クラスのものに比べると、特にEnterキーやEscキーのサイズに不満も感じるが、ボディーサイズを思えばしょうがない。「ちょっと変わったが伝統的なLet'snoteのキーボード」を踏襲している、と言える。

 内部的には、伝統から変わった点もある。これまでLet'snoteは、パワーを優先してCPUに、通常電圧版もしくは低電圧版を使ってきた。だがAX2は同社初のUltrabookであり、CPUには超低電圧版(ULV)が使われている。今回試用したモデルの場合は、Core i7-3667U(2GHz)だ。もちろん、トップスピードでは通常電圧版に劣るが、ストレージがSSDになった現在、一般的な用途ではこれで不満が出ることはまずないだろう。

 今回試用したのは試作機であったため、Windowsエクスペリエンスインデックスが計測できなかったが、十分な値であろうことは容易に予想できる。Windows 8になって、起動/スリープからの復帰/各種インターフェースの利用にともなうタイムラグなど、細かな部分が高速化しているため、同クラスのWindows 7マシンより快適になっている、と考えていい。

Windowsエクスペリエンスインデックスの計測はできなかった。しかし、CPUパワーは十分で、とても動作は快適だ

 ULVになった成果か、全体的な放熱の小ささにもプラスだ。フルパワーで動作しても、本体中央奥にある放熱口の周囲以外は、それほど熱を持たない。タブレットとして持つ時に、ここは長辺になる部分。Windows 8では横長に持つのが基本だから、放熱口を手で持ったり、そこが体に当たったりするシーンは容易に避けられる。タブレットモードでも発熱傾向は同様で、特に問題を感じなかった。

各部の温度比較 放射温度計による測定、室温は23度。フルパワー時はH.264動画エンコード状態

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