高いパフォーマンスで得られる快適な体験が
さらなる革新を巻き起こす
いよいよ11月2日から発売となる第4世代iPad「iPad Retinaディスプレイモデル」と、同時発売される「iPad mini」(いずれもWi-Fiモデル)をいち早く試す機会があったので、簡単なインプレッションをまとめてみよう。
まずは、あえて第4世代のiPad Retinaディスプレイモデルから。このiPad Retinaディスプレイモデルについて、単に充電端子が「Lightningコネクタ」に変わっただけだと思っている人がいるようだが、それは間違いだ。第4世代のiPad Retinaディスプレイモデルでは、CPUがよりパワフルな「A6X」チップになり、Wi-Fi接続時の下り速度も従来の倍に、さらに前面カメラ「FaceTime HDカメラ」が720pのハイビジョン撮影に対応している。また、まだ発売開始時期が不明のWi-Fi+Cellularモデルでは、新たにauとソフトバンクのLTE接続をサポートした。
これらの変更がどのような体験の違いを生み出すのか? 身近な例でいえば、まずはレンダリングに時間がかかるウェブページの表示が速くなる。「http://www.ascii.co.jp」からリダイレクトされてアスキー・メディアワークスのトップページを表示するのに第3世代では12秒かかったものが、第4世代のRetinaディスプレイモデルでは8秒で済んだ。ほかのIT媒体のウェブサイトでは、見事に半分の時間で表示できたものもある。
段々と充実してきたiPad用の電子雑誌の表示速度も大きく変わる。大抵の電子雑誌は、ページを快適にめくれるように、いったん低解像度でページイメージを表示してから、1文字1文字がくっきり読める高解像度なイメージでレンダリングし直す。どうしてもここでワンテンポの遅れが発生して、ページをめくってすぐに読み始められないのが、これまでの電子雑誌だった。
一方、第4世代Retinaディスプレイモデルでは、高解像度版の表示までがほんの一瞬で、読み始めようと思う頃には高解像度表示になっている。読書が好きな方ほど、このスピード感の違いが大きいことが手に取るように分かるだろう。
こうした快適な体験は、iPadのデジタル革命の波をさらに加速させるはずだ。すでにiPadは、電子出版をはじめ、医療、教育、ファッションなどさまざまな分野で大きな変化を巻き起こしつつあり、その影響は計り知れない。
新端子、Lightningコネクタへの移行で、これまで使っていた周辺機器が使えなくなるなどの不自由はあるが、当面の解決策として20cmのケーブル付きアダプター「Lightning - 30ピンアダプタ(0.2m)」などが発売開始されている。これを使えばドック型のスピーカーやスキャナーも新iPadで利用可能なはずだ。
開ききった新書ほどの画面サイズに、310万画素(解像度2048×1536ドット、264ppi)とフルHDを100万画素も上回るiPad Retinaディスプレイモデルは、フルHDでの撮影や、映像編集、音楽の演奏やビデオジョッキー、情報の分析や資料の作成といったプロフェッショナルな利用や、新聞や雑誌といったもともとiPadよりもはるかに大きなサイズの媒体情報を楽しめるのが醍醐味だ。もちろん、これに加えてちょっとした動画やゲーム、電子書籍を楽しんだり、さらに溜め込んだメールをまとめてチェックといった用事にもかなり便利に使える。
ただし従来シリーズは、ディスプレーサイズにあわせて本体の重みもそれなりにあるので、長時間使う際には両手で抱える必要があった(第4世代RetinaディスプレイモデルのWi-Fiモデルは、重量652g)。
動画やウェブサイト、さらにはゲーム/電子書籍など27万5000本以上のアプリをもっと気軽に楽しむ手段はないのか? それに応えるようにして登場したのが、iPad Retinaディスプレイモデルと同時に新発売となる「iPad mini」だ。
(レビュー第2弾へ続く)