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キヤノン「imageFORMULA DR-P208」新登場 第3回

“紙をスキャンした情報と、ウェブからクリップした情報”のごった煮から創発が生まれる

夏野剛氏「ドキュメントスキャナーは自分専用の武器だ!」

2013年01月15日 13時00分更新

文● 二瓶 朗、まつもとあつし 撮影●曽根田元

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「紙とウェブを別々に扱うのではなく、ウェブのクリップと紙のスキャンデータを一緒くたにして眺めることで、新しい発想が生まれるのです」(夏野氏)

紙をスキャンしたアナログ発の情報は Evernoteとの組み合わせで真価を発揮

夏野 「スキャンした情報はEvernoteにまとめておきたいですね。ウェブから情報を取ることはすでに生活の一部になっていますが、毎回見つけ出すのは手間なので、アーカイブしておけばいいわけです。

 これまでは、そういったウェブの情報と、紙の情報は断絶していました。しかしいよいよ、電子書籍の普及が始まったこともあり、その境目はなくなりつつあります。本を丸ごとスキャンする必要も少なくなっていくはずですが、大事な箇所をデジタルでクリッピングしておきたいというニーズはますます高くなるでしょう。

 Evernoteであれば、ウェブから得たデジタル発の情報と、紙をスキャンしたアナログ発の情報を、1ヵ所で同じように扱えるのがポイントです。

新聞や雑誌の切り抜きも行なっているという夏野氏。それらの情報をまとめることで得られた創発は、月4回・毎週金曜日発行予定のメールマガジン・週刊『夏野総研』にアウトプットしているとのこと

 僕は酒屋さんからもらったワインの価格表まで入れておきます。未だに紙で送っていただくことが多いのですが、自宅でじっくり見ている時間はないので、即スキャンしてEvernoteに入れておくわけです。これでブロマガ『夏野総研』のネタにも困らない(笑)。

 そして家電の保証書、携帯電話やプロバイダーの契約書、ジムのスケジュールなどもスキャンの対象です。これらの書類は突然必要になり、そのたびに部屋中を引っかき回すはめになる代物ですから、いったん検索可能なデジタル情報にしてしまえば、整理の必要もありませんし、保管場所を覚えておく必要もなくなります。

 さらに、デジタル化することでファイル名にスキャン日時が入ることも利便性が高まる重要なファクターです。時系列は案外記憶しているものですから」

 EvernoteにはOCR機能も備わっており、アップロードした書類を後からキーワードで検索できるようになっている。デジタルデータを使いこなすにあたって、クラウドサービスとドキュメントスキャナーは心強いパートナーと言えるだろう。

ドキュメントスキャナーは
生産性を上げ、発想を広げるための「武器」

 さまざまなメリットが挙げられるドキュメントスキャナーだが、ビジネスシーンにおける最大のポイントは生産性の向上だと夏野氏。

「どうせならスキャナーの出口にシュレッダーも付けて欲しい。そしてシュレッダー付きスキャナーではなく、あえてスキャナー付きシュレッダーとして売り出しましょう(笑)」(夏野)

夏野 「探し物の時間が仕事の効率を下げているというのはよく指摘される話です。

 ウェブ側はもうほぼ完全に検索できるので解消していますが、書類もデジタル化して、かつ検索できるようにすれば、便利であることはもちろん、生産性も上がりライバルに差を付けることだってできるはずです。

 大企業では、複合機でスキャンしたデータを部署ごとのデジタルキャビネットに蓄える仕組みが整っていたりしますが、たとえそんな仕組みが自社に備わっていたとしても、机上にドキュメントスキャナーは必要でしょう。

 なぜなら、自分しか持っていないパーソナルな情報がまだ手元に残っていますから。そして、まさにそういった部分でこそ、他と差がつくものですよね?

 僕は仕事にオンとオフはないと考えています。例えば営業なら、趣味のゴルフのスコア表や、個人的な美味しいお酒のデータベースも、契約獲得につながる武器になり得ます。ですから、それらをクラウド上に蓄えて、いつでも取り出せるようにしておくべきなのです。

未だに名刺を紙で管理している人がたまにいますが、そんなことをしていたらもう生き残れませんよ(夏野氏)

 生産性向上が守りの部分だとすれば、攻めの部分でのメリットは、あらゆる情報を同列に扱うことで、過去の記憶・データ同士のインタラクションが生じるということが言えるでしょう。

 Evernote上でデータを眺めているうちに、紙をスキャンした情報と、ウェブからクリップした情報が頭の中で組み合わされることで、新しい発想――創発や自己組織化などと呼んだりもしますが――が生まれるわけです」

 ITは戦国時代における“鉄砲”と同じようなものだ、と夏野氏は説く。「鉄砲があったにもかかわらず、騎馬隊での成功例にとらわれた武田は滅亡してしまいました。それと同じことですよ」

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