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Windows 8アプリ開発者・ドルフィンシステム福島幹雄氏インタビュー

Windowsストアで勝つには――ドルフィンシステム福島氏

2012年11月01日 11時00分更新

文● ASCII.jp編集部 写真●曽根田元

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自信を持って開発できるようになるまで1年かからない理由
「ほぼ日本語のみで開発環境と知識が一式揃うから」

―― AndroidやWindows Phoneのアプリを開発するようになったきっかけはあったのでしょうか。近いようでちょっと違う分野のような気もするのですが。

福島 「元々Windows Mobileのころから趣味で作っていたんです。その趣味が高じて本まで出すようになっちゃって。Windows Mobile 5のときですね。初代W-ZERO3が話題だったころの定番アプリで『Pocketの手』というのがあったのですが、あれ、私が作ったんです」

―― えっ、そうだったんですか!

福島 「そのころから、いわゆる .NET系に深く入り始めて。そうこうしているうちに本も書いちゃった。そして会社のホームページに、受託開発だけじゃ寂しいのでそれも載せたら話が来るようになり……。そういう流れです。

 ですから、お客様からはすごく付き合いやすいと言われます。仕様書を要求しませんし、スケジュールも結構柔軟なので。いい加減と言えばいい加減なんですが、お客様のなかには柔軟に進めたい方もいらっしゃるので」

W-ZERO3の定番アプリ『Pocketの手』は福島氏の手によるものだった!

―― 商品を作り始めたらスケジュール通りでしょうが、その前の研究開発段階ではスケジュールを立てようがないですし。

福島 「ですね。そして、そのうちWindows Phoneが立ち上がってきたので、今度はそっちのアプリを作り始めました。2ちゃんねるブラウザーの『Nel』や、コミックビューアの『Mil』というアプリを作ったり」

―― Windows Mobileの開発からWindows Phoneへの移行は容易だったのでしょうか。

福島 「個人的には心理的な壁が非常に大きくて。というのは、プログラミングモデルが、XAML(ザムル)で作っていくモデルに一気に変わったので、ある意味勉強のやり直しになるからです。

 そんなこともあって、SDKが出てから半年ぐらい手を付けていなかったんです。でも今後も続くわけだからやったほうがいいなということで、集中的に勉強しました。単に勉強してても面白くないので、フリーソフトで2ちゃんねるのブラウザーを出してみたと」

―― どのくらいの期間でアプリを作れるぐらいまでになったのでしょうか。

福島 「なかなか難しい質問で、2ちゃんねるブラウザーって意外と簡単に作れるものと思っていたら相当奥が深いのです。しかもヘビーユーザーが多いので大変なんですよ(笑)」

―― 難しいというのはそういうことですか(笑)。

福島 「プログラミングモデルとか、ツールに慣れるまで3ヵ月。そのぐらいでスタートラインに立って、自分で考えたことを自在に実装できるようになるまでプラス半年。本当に自信を持って作れるようになるまで1年かからない」

―― それはドキュメントとか開発環境が揃っているということでしょうか。

福島 「2つあると思います。まず開発ツールがものすごく使いやすいことです。Visual Studioがとても使いやすく、Intellisenceや単体テストが強力に開発者を支援しますし、Windows Phoneエミュレーターも軽くて早い。

 何よりUIを作るBlend、あれのデキが素晴らしいです。昔はいちいちコードを書く必要がありました。“ここにテキストボックスを置いて”とか全部コードを書いて、毎回実行して確認……それを繰り返しているうちに疲れちゃうんですよ。

 対してBlendは、用意されているUIを並べていけばOK。とりあえず形にして、後から凝ることもできますしね。ツールの使い勝手はとてもいいです。

 そしてもう1つ。ここ何年かマイクロソフトさんがドキュメントとかチュートリアルのビデオをとても早く日本語化してくれるんです。そのおかげで私はWindows Phoneも、Windows 8の新しいユーザーインターフェースも、英語のドキュメントはほとんど読まずに済みました。もちろんわからないことを検索して、それが海外のサイトだった、ということはありますが。

 しかし、一次情報としてマイクロソフトさんが提供しているドキュメントでほぼ済んでいるんです。開発環境も英語版と同時に日本語版がリリースされているので、出遅れるということがあまりない」

―― Androidとは大きく違っていると。

福島 「全然違いますね」

―― 開発環境も、オープンソース系なら組み合わせて色々できる一方で、組み合わせがしっくりこなかったりありますよね。

福島 「どちらが開発に集中できるかというと、やっぱりVisual Studio系ですよ。Androidだと、Eclipseの使い方だとか、様々なプラグインを入れて云々とか、越えるべきハードルが多いんですよね。もちろんVisual Studioも、本格的にやろうと思ったら勉強しなくちゃいけないことは数多いのですが、最初のハードルはすごく低い」

―― 新規にやろうという方には……。

福島 「ものすごいメリットですよね」

―― Windows 8ストアアプリの開発難易度は、Windows PhoneやWindows Mobileと比べていかがでしょう?

福島 「Windows Mobileとはまったく別世界です。Windows Mobileのころは、ちょっと凝った表示はすべて自分の手で書く必要がありました。ここは赤で、ここは何ピクセル、画面のサイズが横800だったら800にして……という。

 ところが、Windows PhoneもWPFもSilverlightも、そしてWindows ストアアプリも開発の仕方が同じ……Blendを使って、XAMLというマークアップ言語で画面を組みます。

 そのおかげで、UIを作ることに関しては苦労やストレスをまったく感じません。でもAndroidになると、昔の時代にまた逆戻り。なぜかと言うと、Blendにあたるいいツールがないからです。実際にはXAMLでUIを作っていくので基本的には同じですが、ツールがあるかないかで開発は全然違うんですよ。

 やる気になるか、ならないかぐらいの差があります。Androidの話が来たら『正直、面倒だな』って(笑)。どうせ同じものができるなら楽なほうでやりたい」

―― Windows Phoneと、Windows 8の開発環境はほとんど同じですか?

福島 「そうですね。細かいところでWindows Phoneのほうがちょっと使いやすいかな。これも要はBlendの差なんです。

 というのは、Windows Phoneに対応しているのはExpression Blend 4で、Windows 8に対応しているのはExpression Blend 4 Visual Studio 2012と、ソフトが違います。できることは一緒ですが、前者のBlend 4のほうが機能が多いというか、洗練されています」

―― Windows PhoneはWindows 8の前から走り始めていただけに開発ソフトも“こなれている”のですね。

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