ノイズ対策は「タッチ」に重要
ACアダプターにも「ノイズ対策」
ディスプレーで問題となったのはこれだけではない。Duo 11のディスプレー面には、静電容量式と電磁誘導式の両方のセンサーが搭載されている。このセンサーの精度を上げるには、ノイズがかなり邪魔になる。本体とディスプレーでいかにノイズ対策をするかは、この製品の使い勝手を上げる上でカギとなる部分だ。
鈴木(一)「静電容量式のセンサーに関する技術はPC業界にもあったんですが、今回改めて試みて、設計の中でだいぶ苦労をした部分ではあります」
エレクトリカルプロジェクトリーダーの小野塚克之氏は、ノイズ対策によるセンサーの精度向上が今回のプロジェクトのカギであった、と話す。
小野塚「センサー精度については、書き味の改善のために、ギリギリまでファームウエアの改善を積み重ねています。ソフトウエアでノイズキャンセル的なことをして向上している点もあれば、ハードウエア的な改善で実現している部分もあります」
小野塚「ノイズについては、電源に関する部分も大きいんですよ。当初は『VAIO X』に使っていたものと同サイズの、非常に小さなACアダプターを採用する予定でした。最終的に8ccほど大きくなってしまったのですが、これはタッチに対する外来ノイズ対策のために、大きくなってしまった部分なのです。各国・各状況によって、電源にのっているノイズも大きく異なっているので、その対策が必要でした」
とはいえ、各社のACアダプターが大型化する中で、Duo 11のACアダプターは、かなり小さい部類に入る。カタログでこそうたわれていないが、これでも「1時間で80%」までは充電できるため、実用性は高い。
また別売のシートバッテリーは、このACアダプターで独立して充電できるようになっており、組み合わせて使うとバッテリー駆動時間を容易に伸ばせる。本体にはない、ペンを挿す「穴」がこちらに用意されていることもあり、実は「最初から広く使ってもらうことを前提としていた」(金森氏)設計のオプションだ。
ディスプレーという面では、先ほど問題となった接続用のケーブルには、さらなる工夫がある。ディスプレーをつなぐフレキシブルケーブルは、スライドさせることで頻繁に動く。ところがそこに厚みのある一般的なケーブルを使うと、移動による負荷で傷み、故障の原因になりやすい。
小野塚「試作も相当重ねていますね。柔らかくて薄く、こういった使い方をしても問題が起きないものを見つけるために、ケーブルの素材には苦労しました」
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