ミラーレス戦線にキヤノンが参戦!
EOS Mはキヤノン初のミラーレス一眼カメラで、その画質や使い勝手への関心は高いはず。まずはスペックをおさらいしつつ、使い勝手についてレポートしよう。
まず、本体サイズは幅108.6×奥行き32.3×高さ66.5mm、重量は約298g(バッテリー、SDメモリーカード込み)となっている。
撮像素子はAPS-CサイズのCMOSセンサーで約1800万画素。ISO感度はISO 100から最大でISO 25600相当まで設定が可能だ。
撮影機能には色彩が選べる「ピクチャースタイル」をはじめ、撮りたい写真の雰囲気を選択することで撮影モードを選べる「表現セレクト」、デジタルエフェクトを加えられる「クリエイティブフィルター」などを搭載。
さらにタッチ対応の3型ワイド(約104万ドット)液晶パネルを採用するなど、基本的な仕様や機能は同社のデジタル一眼レフ入門機「EOS Kiss X6i」に近い。というよりは、Kiss X6iから光学ファインダーを外して新マウントにしたという言い方が正しいだろう。
精度はいいが速くない「ハイブリッド CMOS AF」
EOS MとKiss X6iは、撮像素子面に埋め込まれた測距用センサーを用いた位相差検出方式とコントラスト検出方式の「ハイブリッド CMOS AF」を採用する点も同じだ。
このハイブリッド CMOS AFの動作は精度に関しては問題なく、液晶パネルの触った部分にピントが合うので操作性はいい。だが、正直動作が速いとは言えない。筆者が所有する初代オリンパス「Pen」よりもワンテンポ遅れる感じだ。
ミラーレスのAF機構を簡単に説明すると、AFの動作には位相差検出方式とコントラスト検出方式の2種類が一般的だ。
位相差検出は一眼レフで多く使用される方式で、結像面とは異なる測距用センサーを用意する。被写体に対してピントのズレ具合と前後の方向を区別することができ、ピントの合う一点を決定してそこに合わせてレンズを繰り出すといった情報を出すため、ピント位置の前後に動かす必要が少なく比較的速くピントが合う。
コントラスト検出はその名のとおりコントラストでピント位置を判断する方式で、一番コントラストが高い位置をピントの合う場所と判断する。リアルタイムでピントの合う位置を探しながらレンズ駆動させるため、ピント位置の前後で何回かピントをズラして絞り込む動作をする。このため、位相差検出方式に比べて若干スピードが劣ってしまう。
EOS-Mは両方の方式を採用するハイブリッドタイプになっているのだが、実際にAFが動いているのを見ると、ピント位置の前後で動く距離が大きい上、複数回往復する場合もある。
ただし、これはEOS M用レンズ(EF-Mマウント)を使った場合の話。一眼レフ用(EFマウントおよびEF-Sマウント)レンズが装着できる「EFレンズアダプター」を使用して、EOS用のEFレンズを装着すると、専用のEF-Mレンズよりも高速にAF動作するレンズがいくつかあることを発見した。
専用マウントのレンズよりも速くAF動作するのはなんとなく納得いかない部分もあるが、このあたりの動作はファームウェアアップデートで改善される可能性に期待したいところだ。
メニューや設定内容はEOSシリーズ共通の見慣れたものだが、シャッターボタン近くに電子ダイヤルがなく、背面側に十字ボタン兼用の電子ダイヤルが備わっている点など、実際に触る部分は同社のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot」に近い感じだ。
25年前に発売されたEOSシリーズの初代「EOS-650」、いやその前の「T-90」で初採用され、Kissシリーズでさえ採用され続けられているシャッターボタン脇の電子ダイヤルが見送られたのは残念。
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