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今がねらい目のGeForce GTX 680を限界オーバークロック

2012年10月06日 12時00分更新

文● 藤田 忠

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Afterburnerで空冷の限界クロックを探ってみる

 基板上のDIPスイッチを極冷向けの「LN2 モード」へ切り替えると、「標準モード」よりも高いGPU電圧での動作が可能になるN680GTX Lightningだが、まずはデフォルトの「標準モード」で軽くクロックアップ耐性をチェックしてみた。
 各種クロックと電圧の設定変更には、MSIオリジナルVGAツール「Afterburner(アフターバーナー)」のN680GTX Lightning対応バージョンとなる「2.2.3」を使用している。2.2.3からは、GPUコア、グラフィックスメモリーに加えて、PCI Expressの電圧も変更可能になっている。

MSIの独自ツール「Afterburner(アフターバーナー)」。コア/メモリークロック、ファン回転数の変更やモニタリングはもちろん、静止画や動画の保存も行なえる

 なお、本稿公開時点でのAfterburnerの最新バージョンは「2.2.4」になる。ただ、更新内容に「Change the NVIDIA Kepler series voltage control mode」の記載があり、2.2.3だと最大1.306V(Afterburner読み)まで上がっていたGPUコア電圧が、2.2.4では1.210Vまでになってしまう。「GeForce GTX 600」シリーズで限界動作を目指すなら、Afterburnerのバージョンは2.2.3がオススメだ。

 また、発売間近の「Windows 8」に、AfterburnerをインストールしてOCを試したが、2.2.3は起動のたびに再起動を促すメッセージが出てしまい、2.2.4のほうは各種設定こそ問題なく行なえたが、ツールの起動が遅かったり、フリーズしたりすることもあった。ゲームの動作確認もあるので、いきなりWindows 8を導入するゲーマーは少ないと思うが、OCもVGAツールが正式対応してからのほうがいいだろう。

テスト環境

 CPUが6コア/12スレッドの「Core i7-3930K」(3.2GHz/最大3.8GHz)で、メモリーにDDR3-1600 4GB×8枚(32GB)を搭載するLGA2011プラットフォームをまな板ケースに取り付けて各種テストを実施した。

テスト環境
CPU Intel「Core i7-3930K」(Sandy Bridge-E/3.20GHz/TDP130W)
マザーボード ASRock「X79 Extreme9」(Intel X79 Express)
メモリー SanMAX「SMD-16G68HP-16KL-Q-BK」(4GB×8/PC3-12800/1.35V)
ビデオカード MSI「N680GTX Lightning」(GeForce GTX 680)
HDD Seagate「ST2000DM001」(SATA3/2TB)
電源ユニット Seasonic「SS-750KM」(750W/80PLUS GOLD)
OS Windows 7 Ultimate SP1(64bit)
グラフィックドライバー ForceWare 306.23

 LGA2011向けチップセットの「Intel X79 Express」は、PCI Express GEN3.0に対応しているが、GeForce 600シリーズのGEN3.0動作はサポート外になっている。NVIDIAのサポートページにあるGEN3.0有効化パッチを適用することで、GEN3.0動作は可能なのだが、今回は未導入のGEN2.0動作でテストを実施している。

ダウンロードしたパッチを導入して、システムを再起動すれば、GEN3.0動作が有効になる

【関連サイト】

オーバークロック開始
徐々にファンが唸りを上げていく

 Kepler世代は、想定消費電力(Power Target)の範囲内で、GPUコアクロックとコア電圧を自動で高める「GPU Boost」機能が備わっており、テストで使ったN680GTX Lightningでは、ブーストクロックがメーカー値から26MHzアップの1201.9MHzで動作している。
 デフォルト状態で、ブーストクロックが1200MHzを超えなかったら、どうしようとちょっと不安だったが、まずはひと安心だ。
 冷却面も定評ある「Twin Frozr IV」搭載だけあって、解像度1600×900ドットの最高描画設定で「Heaven Benchmark v3.0」を実行しても、GPUコア温度は59度で、ファンの回転数は43%の1530rpmと、十分余力を残していた。

ウィンドウズモードで「Heaven Benchmark v3.0」を実行。GPUコア電圧は、1.175Vまでアップしている

 ブーストクロック1202MHz動作に気をよくして、Afterburnerの「Core Clock(MHz)」を10MHz刻みでアップしていくと、コア電圧1.175Vでは“+100”設定(ブーストクロック1301.8MHz)でのベンチマーク完走をスムーズに達成した。当然、ファン回転数はクロック向上とともに上がっていくGPU温度にあわせて手動で変更し、+100MHz設定時はガチで爆音となる80%(3180rpm)に設定。GPUコア温度は62度と、GPUコア電圧アップ時が不安になる温度になった。

Afterburner(アフターバーナー)は、初期設定クロックからの±で設定を行なう仕様になる。OC時の実動作クロックは「GPU-Z」や「HWiNFO」などを使って、確認しよう

 さらなる高みを目指して、クロックアップを試みたが、コア電圧1.175Vでは、+105MHzでベンチマークが途中で落ちるなど、若干不安定な面を見せ始め、ファン回転数100%でも安定動作は難しかった。試した個体は、コア電圧1.175Vの空冷動作限界はコアクロック1210MHz、ブーストクロック1301.8MHzのようだ。

電圧制御ロック解除
空冷の限界に挑む!

 さすがに空冷での冷却限界が近い気もしたが、1300MHzオーバーでの安定動作を目標に、コア電圧が1.210VのDIPスイッチを「LN2(液体窒素) モード」側に切り替え、Afterburnerの各種電圧変更のロックも解除。メモリーのクロックやGPUコア/メモリー電圧設定などをアップさせて、空冷での動作限界クロックを探ってみた。

Afterburnerは、「Settings」の「全般」にある「電圧制御のロック解除」にチェックをつけることで、各種電圧の調節がmV単位で行なえるようになる

 クロック変更とHeaven Benchmarkによる安定動作確認を繰り返して、限界を見極めて行くと、コアクロックは“+114MHz”の1224MHz、ブーストクロック1316.3MHz、メモリークロックは“+510MHz”の7028MHz相当(実クロック1757.7MHz)での安定動作が可能だった。

オーバークロック時のスペック
  N680GTX Lightningデフォルト 空冷でのオーバークロック限界
コアクロック 1110MHz 1224MHz
ブーストクロック 1202MHz 約1316MHz
メモリー実クロック 1502MHz 1757MHz
メモリー転送レート(相当) 6008MHz 7028MHz

 どうにか、目標だった1300MHzオーバーでの安定動作は達成できたが、GPUコア電圧が0.131Vアップの1.306V前後のわりにクロックの伸びは今ひとつだ。N680GTX Lightningは、ブーストクロック1350~1400MHzでの動作報告(多くは初期ロット品)もチラホラあるので、今回試した個体は中当たり?程度のOC耐といえるだろう。

GPUクロック1316.3MHz、メモリー実クロック1757.7MHzで、各種ベンチマークとゲームが安定して動作した

 GPUやVRM部の冷却強化で、もう少し伸びる可能性も秘めているが、OC中の感触的には結構微妙なところだ。ちなみに、ファンの回転数は100%状態でテスト……。テスト環境が、各種PCパーツが剥き出しになる“まな板PCケース”なのもあるが、半端ない風切り風音と高周波ノイズを発していた。例えPCケースに組み込んでも深夜のゲーミングは厳しいかもしれない。

 ※:Afterburner(アフターバーナー)などのメーカー製ツールを用いた場合でも、オーバークロックはメーカー保証外の行為になります。最悪ビデオカードを破損してしまっても、自己責任になります。

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