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「トイレの通販」で16億円!明朗会計で業界に風穴 (3/3)

2012年10月09日 10時01分更新

文●三浦たまみ

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ECサイトでも「料金の見える化」を徹底

 2001年といえば、まだまだECサイト黎明期。栗原氏は、かなり早くからネットに目をつけていたことになる。

「当時の集客の主体は、当社に限らずチラシ広告。サイトを立ち上げたのは、チラシ同様、集客の手段のひとつになればと思ったからです。ところが、予想以上に反響が大きかった。『トイレ1個、蛇口1個から売ってくれるECサイトがあるんですね』と喜ばれました。ネットは近い将来、間違いなく集客の主流になると確信して、以後は、ネットに力を入れるようになりました」

 ECサイトでも、「料金の見える化」をはっきりと打ち出した。

 例えば、「便器・一体型トイレ」なら、該当トイレから好きなトイレを選び(=商品代金)、設置に伴う工事費用は、一律2万9800円と決まっている。追加料金は、もちろん、1円たりともかからない。だから、他社にありがちな、「実は、出張費、諸経費、廃棄処分費、部材費などが別途かかった」ということがない。これらはすべて工事代金に含まれているからだ。誰もが分かる、明瞭な料金体系。これが、ネット上でも消費者の圧倒的な支持を得た。

「事前に料金を知りたい、できれば安く済ませたいと思うのは至極当然な話。うちは、そういうお客さまのニーズを吸い上げただけです」

“花形”の取り扱いを、あえてやめる

 栗原氏は、「料金の見える化」を徹底するため、取り扱う商材も絞り込んでいった。もっとも大きな変化は、それまで依頼があれば引き受けていた、お風呂やキッチンなどのリフォームの取り扱いをやめたことだった。

「お風呂やキッチンは、大規模工事になるので思わぬ追加料金が発生しやすいんです。しかも、リフォームのなかでも一度にまとまった収入が見込める“花形”なので、競合他社もたくさんいます。反対に、トイレだけ、蛇口だけ、給湯器だけのリフォームは、1件あたりの収入は少なく、外注費ばかりがかさむので、敬遠されていました。だからうちは、他社がやりたがらないことを極めよう、ノウハウを積んでいこうと考えたのです」

 以後、栗原氏は小規模工事に特化したリフォームを専門に続けた。特にメイン商材のトイレは、「床や壁も張り替えたい」という希望に応えるために内装工事にも着手。もちろん、こちらも、クッションフロアの張り替えは9800円、壁紙張り替え2万9800円など料金の見える化を徹底している。

 小規模工事を10年近く続けた結果、施工スタッフ1人ひとりの技量も上がり、多いときで1日1人あたり5件、年間に換算すると1万件以上の工事を請け負えるほど、スピーディーな対応が可能になった。売り上げは右肩上がりに伸び、実績を積んだことで、消費者への信頼感をアピールすることにも結びついていった。

 では、その「お客さまへの信頼感」を、サイト上でどのように伝えていったのだろうか。次回、具体的に詳しくお伝えしよう。(続く)

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工事費を一覧にしてある。写真もつけて、素人にも分かりやすいようにしている。ここに記載されている工事費から1円も追加料金はとらないことで「工事費の見える化」をしている

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あるトイレの例。定価9万4080円のものを4万7040円で販売されているが、便座の料金が別途必要なことがわかる。工事費を足せば、それ以上の費用は一切必要がないのが「料金の見える化」だ

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