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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第62回

「Firefox OS」本格始動 Android以外にチャンスはあるか?

2012年10月03日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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先は長いが、Androidを敵に回して
その地歩を固めることはできるか?

 Mozillaは本気だ。だが、チャンスもあるが懸念事項も山ほどある。ゼロからスタートしてInternet Explorerのシェアに詰め寄ったFirefoxとは異なり、モバイルOSは複雑だ。エンドユーザーの手に渡るまでに、端末メーカー、オペレーター、小売店と関わる企業は多く、開発者にも関心を持ってもらう必要がある。ユーザーが手持ちのPCでタダで試せたFirefoxと比べると、敷居は格段に高い。もちろんMozillaもそれを承知で、MWCで取材した際にオペレーターや端末メーカーとの協業を大切にしていくことを強調していた。

 もうひとつ、Androidを敵に回すこととGoogleとの微妙な関係(2者はFirefoxのデフォルト検索にGoogleを採用することで提携している。契約金は3億ドルともいわれており、Mozillaにとってメインの収益源になっている)も気になるところだ。当面は途上国向けのローエンドにフォーカスをしぼるようだが、どれぐらいの勢いになるのか……。

 それを予測したのが、調査会社Strategy Analyticsのレポートだ。(http://www.strategyanalytics.com/default.aspx?mod=reportabstractviewer&a0=7552)2017年までのスマートフォンOSの動向を予測したものだが、レポートを詳細に報じたTechCrunchによるとFirefox OSは2013年にシェア1%を獲得するに過ぎず、Androidは62%と予想されている(iOSを始め、Firefox OSとAndroid以外のOSは「それ以外」として37%となっている)。

  「たった1%」ではあるが、Windows Phoneのシェアがいまだに2~3%にとどまっている(先述のGartnerのデータでは2.7%)ことを考えると、1%というのはそこそこの数字にも思える。

MeeGo後継のTizenも継続している

 次に「Tizen」の動きを簡単にまとめる。Tizenは2012年1月に正式発足となったLinux FoundationのモバイルOSプロジェクトで、位置づけとしては「MeeGo」の後継となる(LiMo Foundationもマージしている)。

 だが、MeeGoとの(技術面を除く)大きな違いは、片翼を担うのがSamsungという点だ。Tizenプロジェクトは2012年4月に1.0をリリースしているが、搭載製品は未登場のままだ。9月に2.0の初のアルファ版が公開され、プロジェクト継続を印象づけたが、ここでWiFi Allianceが公開した認定端末リストにSamsungのGALAXY S IIIの名称である「GT-i9300」が入った「GT-i9300_TIZEN」があったため、Tizenを搭載したGALAXY登場への期待が高まっているようだ。

 最後に「webOS」。HPはオープンソース版の「Open webOS 1.0」を9月28日に公開、「GALAXY NEXUS」にインストールして動かした動画も公開している。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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