360度回転する、独自の二重ヒンジ採用にも試行錯誤
同時に開発をスタートするに当たって「単純なUltrabookでは差別化できない」という問題意識もあった。二軸ヒンジを利用し、液晶ディスプレーが後方にぐるりと360度回転する独特の構造は、様々な試行錯誤を経て実現されたものだ。
昨年夏に始まったというCF-AX2の開発。一般的なノートパソコンと同じ使用感が得られ、かつタブレットとしても違和感なく使えるコンバーチブル型にするというのは早期に決定したが、どのようなスタイルが最適かについては議論があったという。
「一本釣りではなかった」と長村氏は話すが、CF-AX2の機構は一朝一夕で決まったものではない。多くのラフスケッチを描き、案を絞り込み、リアルな商品として大きさや質感を知るためのモックアップを作る。こうしたプロセスを経て固まったのが、“ハイブリッド・タブレット”と呼ぶCF-AX2のコンセプトである。
その過程では、スライド型の機構を採用するという案もあった。しかしこれは、他社がすでにネットブックとして商品化しており、独自性が乏しいという理由で見送られた。
骨組みと表面で異なる金属を使用し、美しさと強さを両立
カーボンやマグネシウムリチウム合金などUltrabookで用いられる素材は多様化している。しかし加工の美しさや難易度をキープしつつ、薄さと軽さをどう実現するかは難しい問題だ。
Let'snoteでは従来から外殻にマグネシウム合金を採用しており、CF-AX2もCF-SX2とほぼ同じ薄さの素材を使用している。しかし型に流す成型方法は自由な形状を作れる反面、薄型化が難しく、うまく流れないと厚みが不均一になったり、場合によっては穴が空くことすらある。
そこでCF-AX2では、マグネシウム合金を骨組みだけに利用し、表面にプレス加工で美しく成型したアルミ合金を貼り合わせるという二重構造のキーボード面とした。この構造にすれば強度が増すというメリットもある。
工法自体は昔からあるモノだが、異なる材質のパーツを上手く合わせて精度を出すというのは難易度が高く、素材メーカーとの細かなやり取りが必要だったという。